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2013年5月10日(金)

故郷帰りたい 生業再建へ懸命

委員会包む 被災者の叫び

衆院復興特 参考人質疑

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 「被災地の声を聞いているのか」「故郷へ早く戻りたい」衆院東日本大震災復興特別委員会の参考人質疑(8日)は、被災者の叫びと怒りにつつまれました。


写真

(写真)意見陳述する綱島不二雄参考人。左端は質問する高橋ちづ子議員=8日、衆院東日本大震災復興特別委員会

高橋議員が質問

 「浪江に帰りたい。帰れる気もする。帰れないとも思う。避難して歩くのは区切りが付いた。でも心は漂流したままである」

 福島県の双葉地方農業共済組合の山田四郎組合長が避難生活者の訴えを読み上げると、委員会室は静まりました。

 質問に立った日本共産党の高橋ちづ子議員が、全面賠償に応えない東電の姿勢をあげると、山田さんは「家財補償は1人あたり50万円。そんな額では納得がいかない」、「適切かつ円滑な賠償を被災者の当然の権利として行ってほしい」と訴えました。

住民が戻れる制度設計ない

 「小さな花屋を出すことは、(避難先で)お世話になっているのに商売敵になってしまう。屋号の『はなさく』の看板で商売ができないのがつらい」

 福島県会津若松市で避難生活を送る気持ちを切々と語ったのは、大熊町商工会の蜂須賀禮子会長。再開した事業所は以前の35%に満たないとのべ、「グループ補助金を使えるのは1度だけ。大熊町に戻ったら使えない」とのべ、復興を担う中小業者への支援制度の改善を求めました。

 JA名取岩沼(宮城県名取市)の今野裕章青年部委員長は、水田の3分の1が作付けできるようになったが、ガレキが残る農地もまだまだ多く、「農業で培った我慢強さがあるが、みな心が折れそうだ」と支援の拡大を訴えました。

 塩釜商工会議所(宮城県塩釜市)の桑原茂会頭も「希望の光が見え始めた」とのべつつ、風評被害をはじめ困難な課題が数多くあり、水産・加工業再生へグループ補助金の継続と適用基準の緩和を求めました。

 「若い人と子どもが村に戻ってくるには、医療と教育環境が中心問題」とのべたのは、“帰村宣言”した福島県川内村の遠藤雄幸村長。「住民が戻るための制度設計がない。戻るための枠組みつくりが必要」と要望しました。

 福島県の南相馬市立総合病院の及川友好副院長は、市内の旧緊急時避難区域にあった5病院のうち四つが原発事故後、休院したことを報告しました。南相馬市は事故前の7割まで人口が回復したものの、老年人口が35%になり、幼年人口は半減。「国が20キロ圏内地域の明確なビジョンを示さないと医療復興の展望が持てない」と語りました。

公的支援制度打ち切り批判

 これから復興というときに公的支援が打ち切られていることへの批判が相次ぎました。

 「宮城だけが医療費窓口負担の免除措置が3月で打ち切られた」

 こう批判したのは、東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターの綱島不二雄代表世話人。打ち切り前に「かけ込み診療」が相次ぎ今は患者が激減したとのべ、免除復活が被災者の圧倒的多数の願いだと求めました。

 宮城県の須田善明女川町長も「全体の復興期間と各制度の期間設定が違う。いつまでやってくれるか担保がほしい」と支援延長を要望しました。

 水産加工「かくりき商店」(岩手県宮古市)の小堀内将文専務は、被災者を雇用した事業主に支給される事業復興型雇用創出助成金の延長を求めました。

 高橋議員が、グループ補助金の遡及(そきゅう)補助制度が3月で打ち切られたことをあげ、「これから活用という企業も多く、制度を拡充すべきでないか」と質問すると、桑原会頭は「申請しようとしている会社もまだまだ残っている」と継続を求めました。

原発の再稼働 TPPに反対

 被災者を無視した原発再稼働や環太平洋連携協定(TPP)、「水産特区」に対し怒りが相次ぎました。

 山田組合長(双葉地方農業共済組合)は「福島県は県内の原発をなくす宣言をしている。東電は変な物体を早く除去してほしい。こんなエネルギー政策をとった国も一緒になって速やかに除去してほしい」と力をこめました。

 遠藤川内村長も「原発再稼働は、事故が起きた事実(の一点)で認めたくない。代替エネルギーがなければ再稼働反対といってはいけないのか」。

 営利主義を持ち込み浜の秩序を壊す「水産特区」について綱島さんは、県民無視で宮城県知事が申請を強行したことを批判。宮城県の石巻魚市場の須能邦雄社長も漁業者との十分な議論が尽くされていないと訴えました。

 TPPについて須能社長は「各国事情を考慮しておらず、生存権にも影響する問題だ」とのべました。


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