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2013年5月6日(月)

主張

消費税「転嫁」法案

増税そのものを中止すべきだ

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 来年4月から始まる消費税の増税に向け、安倍晋三政権が提出した消費税増税分の「価格転嫁」を進める法案が国会で審議されています。大手業者が消費税の価格への転嫁を拒んだりすることを規制する内容です。法律をつくらなければならないほど、消費税が中小零細業者にとって重荷な税制であることを示しています。こんな法案をつくるぐらいなら、安倍政権は消費税増税を中止すべきです。

身銭を切ってまで納税

 消費税は売り上げにかかった消費税分から仕入れに含まれている消費税分を差し引いて納税する仕組みです。ところが実際には中小零細業者が納入先の企業から消費税の転嫁を拒まれたり、きびしい価格競争のなかで親企業などから買いたたかれたりしているのが実態です。消費税を転嫁できない中小企業は6、7割以上にのぼるという調査もあり、消費税を転嫁できないのに身銭を切ってまで納税しなければならない中小企業・中小零細業者の苦しみは消費税導入以来続いてきました。

 消費税増税は来年4月から現在5%の税率が8%に、さらに再来年10月からは10%に引き上げられる予定で、転嫁問題を抱える中小企業にとっても負担は深刻です。とりわけ大企業の下請けが多い中小零細業者にとっては、納入価格が買いたたかれたり、増税分の転嫁が抑えられたりすれば文字通り企業の存亡にかかわる死活問題になります。

 安倍政権があわてて転嫁を進める法案を出してきたのも消費税の転嫁をめぐる矛盾が無視できなかったからですが、口先だけで親企業などの転嫁の拒否を規制するといっても、それで問題が解決する保証はありません。

 納入業者や下請け業者に消費税分を価格に上乗せして納入するのを認めても、商品の価格や下請け工賃自体が値引きされれば通常の取引とは区別がつきにくく「違反」とはされない恐れがあります。大手の量販店やスーパーなどが「消費税還元セール」などと銘打って値引きし、納入業者などに負担を押し付けるのを規制するというのもほとんど絵に描いた餅です。

 政府は国会での法案審議で最初は「全品値下げ」や増税分の「3%値下げ」もだめだと答弁していたのに、大手スーパーなどから反発されると、「消費税」と銘打たない「値引きセール」ならオーケーといいなおしました。大手スーパーなどの値引きを口実に、納入業者などに犠牲がしわ寄せされるのは回避できそうにありません。

 だいたい、立場の弱い納入業者や下請け業者が値引きや買いたたきを告発すれば取引を拒否され仕事を奪われることさえ予想されます。そうした構造にメスをいれず、「転嫁」対策だけで、消費税の根本的欠陥が解決できるはずはありません。

増税中止の運動大きく

 そうでなくても中小零細企業は長引く「デフレ不況」で苦しめられ、「アベノミクス」に伴う円安による原材料の高騰でも経営を圧迫されています。このうえ消費税が増税されれば「廃業するしかない」と悲痛な叫びがあがっています。

 消費税は「営業破壊税」であり、弱いものいじめの税金です。暮らしも経済も破壊する無謀な増税計画をやめさせる世論と運動を大きく広げることが重要です。


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