2013年5月6日(月)
安倍内閣の侵略戦争美化
国際社会では通用せず
軍国主義の亡霊 歴史の時計の針 逆に
安倍晋三首相が靖国神社への供物の奉納や、過去の日本軍国主義のもとでの侵略を認めない発言をし、政権の閣僚らが同神社を参拝していることに対して、韓国、中国に加え、欧米諸国からも批判や懸念が表明されています。安倍首相らの言動が今の国際社会では通用しないことを指摘し、“緊張の悪化になる”と戒め、未来を見据えることを主張しているのが特徴です。
中韓・欧米からも批判
批判を呼んでいる安倍首相発言の一つは、4月23日(以下日付は4月)の参院予算委員会での「『侵略』という定義は、学問的にも国際的にもまだ定まっていない」と述べた点です。
日本がアジアと世界に甚大な被害をもたらした侵略戦争を認めないこの発言に対して、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は、26日の日中韓3カ国協力に関する国際シンポジウムで、「過去のアジアでの不幸な歴史について、日本の一部指導者らの時代錯誤的な言動」と指摘しました。さらに「新たな東北アジアの未来を共に築こうとする域内の国家の努力に冷や水を浴びせるもの」との強い懸念を示しました。
韓日議員連盟の会長を務める韓国与党セヌリ党の黄祐呂(ファンウヨ)代表は、「国連の国際平和体制を根本から揺るがすだけでなく、軍国主義の亡霊がよみがえるのではないかと驚くのみ」と、語っています。
「帝国のシンボル」
首相の供物奉納や閣僚らの参拝について、中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)副報道局長は「日本の指導者による靖国神社参拝の本質は、日本軍国主義による侵略の歴史を否認する企てである」と23日の記者会見で指摘しました。
米紙ワシントン・ポストは23日付論評記事で「靖国(神社)は日本の帝国的使命のシンボルであった」、ニューヨーク・タイムズ23日付社説は「靖国神社は、日本の戦死者を祭っているが、第2次世界大戦後に戦犯として処刑された者たちも幾人か含まれている」と、それぞれ、靖国参拝がなぜ問題視されるのかに言及しました。
ニューヨーク・タイムズ紙社説はさらに、閣僚らの靖国参拝が「中国と韓国にとって、いかに敏感な問題であるかを承知した」もとで行っていると述べ、韓国外相の訪日取りやめや中国の公式批判などの「反応は予測できるものだった」と指摘。「安倍氏は、歴史的な傷を悪化させるのではなく、日本の未来を書くことに焦点をあてるべきである」と主張しました。
安倍首相の政治姿勢を問う論調も出ています。
本心を表した詭弁
英紙フィナンシャル・タイムズ29日付社説は、「(安倍首相が)本心をのぞかせ」、中韓の反発と米国の当惑を招いた、と苦言を呈しました。韓国の中央日報24日付社説も、「侵略の歴史を否定したい内心を表した詭弁(きべん)といわざるをえない」と述べ、「歴史の時計の針を逆に回そうとしている」と強い懸念を示しています。