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2013年5月5日(日)

憲法9条“中国からの目”

戦後の日本の「名刺」

日中相互理解の基礎になる

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 中国・南京市内にある南京大虐殺遭難同胞記念館。日本軍に殺された子どもを抱きかかえ天を仰ぐ母親の巨大な像が入り口に置かれ、訪れた人たちの目を引いています。記念館は、1937年12月に旧日本軍が南京で行った大虐殺についての資料や写真を展示。発掘された中国人の白骨も公開し、侵略の事実を訪れた人たちに突き付けています。(南京=小林拓也 写真も)


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(写真)南京大虐殺遭難同胞記念館前にある、旧日本軍に虐殺された子どもを抱える母親の像=3月、南京

 数々の展示の最後には、記念館を訪れた日中友好団体の写真などが壁に飾られています。その下のケースの中には、日本のさまざまな平和団体がつくった、日本国憲法第9条を守る決意を示すスカーフやビラ、ステッカー、バッジが並べられています。それらの展示物にじっと見入る中国人の若者もいました。

 旧日本軍は37年12月から2カ月にわたり、南京で中国軍兵士だけでなく一般市民を虐殺。婦女の強姦(ごうかん)、放火、略奪などの残虐行為を犯しました。

南京市民の慰め

 「日本は中国で15年に及ぶ侵略を行った。その中で、南京では大虐殺をした。虐殺の時間は長く、規模も大きく、やり方も残酷だった。南京市民の肉体的、精神的傷は深く、日本の侵略を忘れることはできない」

 こう語るのは南京師範大学南京大虐殺研究センターの張連紅主任です。

 張氏は「日本は中国やアジアの国を侵略した反省の上に立ち、軍隊を持たず、平和国家として歩むことを決めた。これは南京市民にとって一つの慰めだ。日本は二度と外に向かって侵略はしない。南京市民はこれ以上のことは要求しない」と日本の憲法、特に第9条の意義を強調しました。

 近代の日中関係に詳しい歩平・中国社会科学院近代史研究所学術委員会主任は、日本の平和憲法は戦前とは違う新しい日本を紹介する「名刺」だといいます。「日本の戦前と戦後の一番重要な区別が平和憲法。戦後の日本は平和な国の代表として国際社会に登場し、国際的地位を高めた」と指摘します。

改憲は歴史覆す

 また、日中関係にとっても「平和憲法は相互理解の基礎」と位置付け、「多くの中国人は戦前と戦後の日本を同じものだと認識し誤解しており、悪い印象を持っている。その誤解を解く一番有効なものは日本の平和憲法だ。もし憲法が変えられたら、中国人の誤解を解く方法はなくなってしまう」と憂慮します。

 張氏も「日本が憲法を変え、軍隊がない国が国防軍を持つようになる。これは歴史を覆す動きだ。南京市民、中国国民は絶対に受け入れることはできない」と強調。「日本は平和発展の国として世界に貢献する国になってほしい。すべての国が軍隊を廃止し、世界を平和にする、そのような平和発展の国の模範に日本はなってほしい」と求めました。


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