2013年5月1日(水)
「派遣労働者にも福祉広げる」
伊 レッタ政権が発足 経済政策転換を表明
【パリ=浅田信幸】イタリアのレッタ新内閣は29日の下院に続き、30日の上院でも多数の支持を得て信任され、正式に新内閣が発足しました。
レッタ新首相は信任投票に先立つ方針演説で、「緊縮だけではイタリアは死んでしまう。成長政策をこれ以上待つことはできない」と述べ、経済財政政策の転換に取り組む姿勢を明らかにしました。
特に社会福祉について、「もっと普遍的で、もっと若者と女性に焦点を当て、福祉が及んでいない人々、とりわけ派遣労働者にまで福祉を広げる必要がある」と指摘し、失業を減らすために労働組合と協調していく姿勢を打ち出しました。
また、県(州の下にある行政単位)の廃止や政党助成金制度の抜本的見直しなども提起し、これらの公約を「18カ月後」に検証し、「しかるべき結論を出す」と表明。短期政権に終わらせないとの意欲を示しました。
レッタ氏は上院での信任投票後、直ちにブリュッセルの欧州連合(EU)本部、ベルリンのメルケル独首相、パリのオランド仏大統領を訪問し、話し合う意向を明らかにしています。
EUの方針に従い厳しい緊縮政策を推進したモンティ前政権の下で、イタリアは深刻な不況に陥り、とくに若者の失業は30%台後半にまで達しています。政治支配層に対する反発だけでなく、EUに対する不信があいまって、2月の総選挙では反体制的な「五つ星」運動が大躍進し、政権協議が2カ月にわたって混迷する事態を生みました。
ようやく発足した新内閣ですが、その基盤は直前まで互いに激しく非難し合ってきた議会第1と第2の勢力である中道左派と中道右派の「大連立」。レッタ氏は、連立与党間の統一とともに、党首の辞任表明で揺れる最大与党・民主党の党内団結を保つという課題にも直面することになり、その政治手腕が問われることになります。