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2013年4月30日(火)

主張

「道州制」法案

“国の姿”を壊す仕掛けづくり

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 都道府県を廃止して道や州という新たな地方制度導入をめざす「道州制推進基本法案」の今国会提出を自民・公明両党が合意し、作業を加速しています。安倍晋三首相は「早期制定をめざしたい」と意欲を示し、日本維新の会、みんなの党にも協力を求めています。

 自治体の「広域化」を強制的にすすめる道州制は、住民と向き合う地方自治体の本来の役割をゆがめる大改悪です。国の仕組みを根本から変えて、国民の暮らし全般に深刻な影響をもたらす、きわめて危険な策動です。

“国の崩壊につながる”

 道州制は、全国を10程度の地域に分割し、「東北州」「関西州」などといった「広域自治体」をつくる構想です。同時に現在約1700ある市町村の合併をさらにすすめ、将来300程度の「基礎自治体」への再編を強いることももくろんでいます。

 自民党や経団連は「新しい国づくり」「究極の構造改革」と位置づけてきました。国のやるべき仕事を外交・防衛など非常に狭い分野に限定し、医療・介護・教育などの仕事は「権限移譲」の名のもとに、道・州や基礎自治体に押し付ける“国家の大リストラ”です。

 こうした「権限移譲」は地方の財政力の違いで左右される福祉・教育の格差をもたらします。住民福祉の向上・増進に国が責任をもつことを定めた憲法25条などの理念を放棄するものです。

 全国町村会が、大都市圏への人口集中や、自治体と住民の距離が遠くなることなどに強い危機感を表明し、“住民自治が衰退し、ひいては国の崩壊につながる”と反対しているのは当然です。

 自公が検討中の「道州制推進基本法案」には、道州の定義や基本理念を書き込みます。法律への明記は初めてで、道州制導入を国の正式な方針への格上げをねらっています。道州制実現を確実にするため内閣に推進本部を設置するほか、有識者による「道州制国民会議」が首相の諮問を受け道州の区割りなどを行い、3年以内に答申する内容も盛り込みます。期限を切って一気に加速させる仕掛けです。国民的議論も十分でないまま、道州制の既成事実化に突き進むことはまさに暴走そのものです。

 けしかけているのは財界です。経団連が「先送りはもはや許されない」と緊急提言し、2018年の道州制導入を迫っていることは重大です。経団連は、道州制による地方公務員人件費削減や公共投資「効率化」で約5兆8千億円の財源が捻出できて、それを道路・港湾など大規模開発に回せるとの皮算用までしています。道州制導入をもうけ拡大に利用しようというのは、あまりに身勝手です。

ストップの声大きく

 財界・大企業の求めに応じて地方制度を再編し、住民に犠牲を強いるのは何の大義もありません。地方自治を破壊し、地域経済を衰退させることは許されません。

 自公とともに、「大阪都構想」を掲げる「維新の会」が改憲もからめて道州制導入への「突撃隊」の役割を果たしていることは、同党の危険な姿を浮き彫りにしています。

 “国の姿”を大変質させる道州制導入と市町村大再編の危険な企てを阻み、国でも地方でも「住民が主人公」を貫く政治の実現を求める声を広げることが急がれます。


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