2013年4月30日(火)
全千島返還要求こそ 日ロ首脳の共同声明
安倍首相とプーチン大統領が発表した共同声明は「第2次世界大戦後67年を経て日ロ平和条約が締結されていない状態は異常である」と指摘。「平和条約問題の双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示を自国の外務省に共同で与える」としました。
日本政府は「北方4島(国後、択捉、色丹、歯舞)の帰属問題を解決し、平和条約を結ぶ」のが基本方針です。しかし戦後67年を経ても平和条約に不可欠な領土問題の解決のメドすらたっていない原因は、歴代自民党政権が「4島返還」に固執してきたからです。
千島列島(国後、択捉から占守〈しゅむしゅ〉までの全千島)は、日ロ間で19世紀に結ばれた条約によって平和的に画定された、日本の歴史的領土です。歯舞、色丹はもともと北海道の一部です。
しかし第2次世界大戦でソ連(当時)のスターリンは千島列島の「引き渡し」を要求し、米英もこれを認め、「領土不拡大」という戦後処理の大原則を破り、全千島を併合し、歯舞、色丹も占領しました。日本政府は1951年締結のサンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄しました。
日本政府は55年からのソ連との交渉過程で「国後、択捉は千島列島ではない」とし、歯舞、色丹と合わせ「4島返還」を主張し始めました。しかし、これは国際的に通用する主張ではありません。
こうした誤った立場に固執し続けた結果、領土交渉は何一つ成果があがらないばかりか、日本側の一方的譲歩が繰り返されています。
必要なことは、戦後処理の不公正をただし、千島列島の放棄条項にとらわれず、全千島返還を求めることであり、北海道の一部である歯舞、色丹は即刻返還を主張することです。(榎本好孝)