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2013年4月21日(日)

B787運航再開許可へ

日本の航空行政これでいいのか

原因究明ないまま 米当局の判断追認

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 バッテリーが異常過熱するという重大なトラブルを抱えるボーイング787型機の運航再開を米連邦航空局(FAA)が許可する見通しとなりましたが、トラブルの原因はいまだに特定できていません。原因究明と再発防止策を確立できないままの拙速な運航再開は大きな問題があります。FAAの判断を追認する日本の航空行政の姿勢も問われています。

 電気による制御システムや新素材など新技術を搭載した最新鋭機、787型機はエンジンの安全性向上を理由に従来よりも長時間、陸地を離れた運航が可能とされています。

 万一、陸地から遠く離れた洋上で火災が発生すれば、大惨事になりかねません。運航再開にあたってはバッテリートラブルの原因究明と再発防止策が求められていました。

 航空機の乗員でつくる日本乗員組合連絡会議は1月30日、「徹底した原因究明と再発防止の確立が必要であり、リスクを抱えたままでの運航再開はすべきでない」との見解を発表。バッテリーについて「なぜ事故が起きたのか、設計、製造段階からの検証が必要だ」と指摘していました。

 しかし、FAAの調査でもいまだに原因特定には至っていません。ボーイング社は約80項目の要因を想定してそれに対応する対策をとったから安全だと主張しています。

 同社の技術担当者は「数年かけ、原因を特定する選択もあれば、もっと包括的な対策を取ることもありうる。我々は後者を選んだ」とのべています。

 同社の対応は、安全の徹底よりも航空各社への納入、販売の再開を優先したといわれてもしかたのないものです。

 加えて問題なのは、日本の航空行政がアメリカの“後追い”に終始していることです。FAAがボーイング社の対応策を承認したことについて国土交通省は「特段の問題はない」として追認する姿勢です。

 1月に国交省が787型機の運航停止を命令したのも、FAAの命令を出したあとでした。

 背景には、国交省が輸入する航空機の安全審査に責任を持つ姿勢の弱さがあります。すでに輸出国で検査済みの航空機について日本で行うのは書類検査のみで、検査基準はアメリカとほぼ同じです。

 この点について、民間航空輸送産業の労働組合でつくる航空労組連絡会(航空連)は3月6日に行った同省への申し入れで、アメリカの承認があれば日本の審査を省略できる制度を再検討するよう求めています。

 (細川豊史)


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