2013年4月20日(土)
TPP米欧版
仏 交渉入り拒否も
「文化的例外」を要求
【パリ=浅田信幸】欧州連合(EU)と米国が6月から交渉入りを予定している環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)について、フランスのブリック貿易相は18日、「文化的例外」その他を交渉の対象とはしないことを改めて要求し、認められない場合には交渉入りの拒否もありうることを示唆しました。ダブリンで開かれたEU貿易相会合で発言したものです。
ブリック氏は「フランスの立場は、文化問題を交渉からはずしたいということだ。これは交渉できる問題ではない」と述べるとともに、「もしも『文化的例外』が認められないのであれば、合意はありえないだろう」と強調しました。
フランスはこれまでにも食品の安全基準の問題(遺伝子組み換え食品や成長ホルモンを使って飼育された牛その他の肉類などの厳しい輸入制限)で、交渉の対象にはならないとの態度を表明。また、自国の映画産業を守るため、自国製映画を上映する日数の最低基準などを国内映画館に義務付けるスクリーン・クォータ制などの維持を求めています。
TTIPは、日本で大問題になっている環太平洋連携協定(TPP)の米欧版ともいえるもの。イギリスとドイツが主導する形で今年2月、米・EUが共同声明で交渉開始を確認しました。EUではいま交渉開始に向けての内部調整が行われているところです。
米国とEUを合わせれば国内総生産(GDP)で世界のほぼ半分、貿易では3分の1近くを占めます。すでに両域間の関税はかなり低く、TTIPの狙いは、中国をはじめ台頭する新興国に対し、通商ルールの世界標準を米欧が主導で確定することにあると指摘されています。
TTIPについて欧州労連(ETUC)も3月末、声明を発表し、情報がほとんど公開されていない問題を批判するとともに、「労働条件と公的サービスの地位を引き下げるための企業計画」となることに懸念を表明しています。