2013年4月17日(水)
宝塚市長選「維新惨敗」
市民守る中川さんに共感
都構想 “大阪に吸収させない”
宝塚歌劇で有名な兵庫県宝塚市で市民の良識が「維新」を撃退―。14日投開票の宝塚市長選で、日本共産党も加わる「明るい宝塚民主市政をつくる会」や広範な市民が支援する現職の中川智子氏(65)が、大差で再選を果たしました。(兵庫・喜田光洋)
大阪府外の首長選で初めて公認候補を立てた「日本維新の会」は宝塚市でも隣の伊丹市でも市長選で大敗。同日投票の両市議補選でも公認候補が落選し、勢力拡大のもくろみはあえなく崩れ去りました。
「真実が通った。この一言です。市民は中川さんの温かい市政をちゃんと評価し、維新の政治は弱い者泣かせやと見抜いて、宝塚に来るなと回答を出した。本当にうれしい」
宝塚市在住の男性(61)は、満面の笑みで語りました。
与党として支え
中川氏は元社民党衆院議員で、4年前、市長が2代連続して汚職で辞任という異常事態のもとで初当選。クリーンな市政への転換をはかり、命を大切にする支えあいの宝塚へと▽市立病院の医師を75人から104人に増やし、救急受け入れを1・4倍化▽保育園を2園新設するなど子育て支援を充実▽借金を134億円減らすなど市財政健全化を推進―など市民本位の市政を進めてきました。日本共産党は中川氏を与党として支えています。
選挙戦で、「維新」は同党公認の元市議(40)の押し上げで、橋下徹共同代表(大阪市長)が2度も乗り込んだほか、松井一郎幹事長(大阪府知事)ら同党幹部や衆院議員も次々と送り込むなど総力戦で臨みました。
中川氏は豊かな実績と(1)命輝く宝塚(2)子育てするなら宝塚(3)文化薫る宝塚―など2期目のビジョンを訴え、「ご一緒に誇りある宝塚に」と市民に呼びかけました。
市民に寄り添う
「維新」候補は、「市職員の給与が高すぎる」「共産市政」という攻撃に終始。「(ごみ収集や学校給食調理などの)単純労務職員は殺されても分限免職(解雇)する」とまで叫びました。橋下氏も「公務員、役所の既得権益を守るのか、市民のもとに税金を戻す市長にするのかだ」などと訴え、市民と公務員の対立と分断をあおろうとしました。
市内在住の女性(62)は「『維新』の候補は、給食調理員は仕事が昼に終わってろくに働かないのに給与が高いというけど、とんでもない。午後も洗い物があり、翌日の準備もある。大事な仕事です。こんな悪口をいう人を絶対に通したらあかんと思った。中川さんは市民の目線でしっかりとやってくれます」といいます。
中川氏は当選後の会見で「自治体は市民に寄り添い、日々の生活を守り、困っている人を元気にすることが仕事」(14日)と語りました。自治体本来のあり方に市民の共感が集まったのです。
「明るい会」の11日の決起集会で、日本共産党の山下芳生書記局長代行が「公務員の賃金を削ったら、今度は市民も我慢しろというのが維新のやっていること」と告発し、市民の連帯を呼びかけたことも力になりました。
特別区に怒る声
告示直前、「維新」の浅田均政調会長が、「大阪都」構想について「大阪だけでなく周辺10市くらいを合併し、尼崎や西宮を越えて神戸まで特別区にしたい」(神戸新聞3日付)と発言したと報じられ大問題になりました。中川氏を応援した女性(65)は「ここまでやるかと。宝塚をなくされたら困ります。市民も怒りました」。
中川氏は「大阪への吸収など絶対に許さない。宝塚を守り抜くために市民とともにたたかう」と表明。「維新」は言い訳に回りました。
今回、「維新」は7月の兵庫県知事選、10月の神戸市長選の前哨戦として宝塚・伊丹の両市長選に臨みましたが、結果は惨敗。橋下氏は15日、「受け入れられなかったことは間違いない。…維新に対するノーなんですよね」と認めました。