2013年4月11日(木)
武器展示は銃刀法違反
元防衛相らを刑事告発 市民グループ
行事で参加者に操作体験
陸上自衛隊第1師団(東京都練馬区)が記念行事で、市民に小銃や機関銃を手にとらせ、標的に狙って構えさせるなどをした展示行為は、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反に当たるとして市民グループが10日、田中直紀元防衛相と陸上幕僚長、東部方面総監、師団長らを東京地検特捜部に刑事告発しました。
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告発したのは「自衛隊をウオッチする市民の会」。告発状によると第1師団は2012年4月8日の練馬駐屯地での師団創立50周年・同駐屯地創立61周年記念行事で武器展示を実施。同師団が保有する89式5・56ミリ小銃2丁、機関銃2丁を展示し、参加した市民に操作を体験させた、としています。
07年11月11日に埼玉県の秩父市荒川総合運動公園での「ちちぶ荒川新そばまつり」での武器展示についても同様な趣旨で、当時の石破茂防衛相ら関係幹部を告発しました。
「市民の会」は、記念行事での武器展示で小銃などが鎖でつながれてはいるものの市民が自由に手にもち、標的を狙って引き金に指をかけるなどの操作ができ、これは銃刀法が禁じる「所持」にあたると指摘。
操作を許す行為は、「銃への関心を惹起(じゃっき)させ、厳しく銃の所持を規制する銃刀法の趣旨にも反する行為」だと断罪します。
記者会見した「市民の会」の種田和敏事務局長(弁護士)は「銃を扱う国家機関である自衛隊が無頓着であってはならない。まして子どもに操作体験をさせることは許されない。武器展示や模擬戦闘訓練(レンジャー訓練)体験はやめてほしい」と訴えました。
解説
問われる司法の判断
問題の武器(装備品)展示は全国各地の駐屯地祭やさまざまなイベントで行われています。子どもが人の命を奪う銃を簡単に手にし、標的を狙って引き金に指をかける姿は異常です。銃刀法違反として自衛隊の最高幹部、高級幹部を刑事告発するのは今回が初めて。
「自衛隊をウオッチする市民の会」は2010年の朝霞演習場(埼玉県朝霞市など)での観閲式、今回の練馬駐屯地での武器展示に「市民が銃を手にして操作してもよいのか」との疑問から、練馬駐屯地に質問状を提出(防衛相にも同様に質問を送付)。いずれも回答はありませんでした。
小銃などの小火器をめぐっては、国連でもさまざまな軍事紛争で市民を大量に殺傷する事例が多いこと、子どもへの被害の深刻さから小型武器の規制措置が議論の対象になっています。ジュネーブ条約は15歳未満の児童の軍隊、武装集団への採用を禁じています。
自衛隊の武器展示では子どもの銃操作体験が各地で目撃されています。銃刀法をないがしろにする自衛隊の武器展示行為が許されるのか、司法の判断が問われます。(山本眞直)