2013年4月9日(火)
東北電 電気料金値上げ申請
再稼働を前提に原発維持費など計上
四国電 使用済み燃料再処理費も
家庭向け電気料金の平均11・41%の値上げを申請している東北電力が、申請原価のなかに、現在、稼働していない原発維持費など383億円を計上していたことが分かりました。今後、公聴会などで批判の声があがるとみられます。
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これは、電気料金値上げを審査する経済産業省の「電気料金審査専門委員会」(委員長=安念潤司中央大学法科大学院教授)に3日、東北電力が提出した資料で分かったもの。
提出資料によると、東北電力は、電力を購入してきた東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)と福島第2原発(福島県)や日本原子力発電(日本原電)の東海第2原発(茨城県東海村)について、「新安全基準にもとづく安全性確認のための審査等を踏まえ、原価算定期間中の受電発電量を策定した」として、年平均23億キロワット時を「購入」することにしています。
現在停止中の原発の再稼働を前提にするもの。これによって、東北電力が、東電、日本原電に支払う購入電力料(原発を維持管理する費用)は、人件費22億円、修繕費56億円、委託費25億円、減価償却費80億円など計383億円にものぼっています。
東北電力は、停止中の東通原発(青森県)の再稼働を見込んでおり、使用済み燃料再処理費用として42億円も料金値上げの申請原価に含めていることも分かりました。
一方、平均10・94%の値上げを申請している四国電力が3日、電気料金審査専門委員会に提出した資料によると、62億6700万円の使用済み燃料再処理費用を申請原価に含めていました。同電力は、伊方原発3号機(愛媛県)の再稼働をもくろんでいます。
3日の専門委員会では、消費者団体から購入電力料や、石炭や液化天然ガス(LNG)の調達などとともに、電力会社の企業内議員への給与支払いなどについて質問が出されました。
今後、専門委員会は、購入電力料や高すぎる役員報酬などの人件費などについて検証することになります。しかし、2日に経産省が値上げを認可した関西電力の場合、専門委員会は発電していない日本原電に払う購入電力料466億円の原価算入を認めており、国民的監視が必要です。