2013年4月9日(火)
きょうの潮流
「中学歴史教科書に『慰安婦』記述の復活を求める市民連絡会」主催の講演会で、大阪府内の公立中学校社会科教師・平井美津子さんの授業実践を聞きました▼平井さんは、日本軍「慰安婦」問題を教え続けて17年。「なぜ戦争で女性たちが性の犠牲にならなければならなかったのかを考えることで、日本軍の本質、戦争の実相、当時の外国人差別と女性蔑視に迫り、日本の戦争責任と戦後補償から現代を問いたいと思いました」▼生徒たちは事実を真っすぐに受け止め、口々に語ります。自分と同世代の子が性奴隷にされたことへの悲しみと痛み、いまだに謝罪も賠償もしない日本政府への憤り、真実を知った人間にはそれを語り継いでいく責任があること▼「40年以上の沈黙を破って自ら声を上げ、日本政府を告発した慰安婦の人たちの勇気を私も持ちたい」と言った生徒もいました。「慰安婦」は単なる被害者ではなく、歴史を動かす主体であるという視座を、平井さんは生徒から学んだと言います▼「歴史とは現在と過去の対話である」(E・H・カー『歴史とは何か』)という言葉の通り、過去を見つめることは、今をどう生きるのか、どんな未来をつくるのかにつながっています▼侵略と植民地支配への反省もなく、「慰安婦」の強制性を否定する安倍政権の行き着く果ては、国防軍の創設であり、世界の平和を再び踏みにじる日本の姿です。「平和を願うなら事実を知らないといけない」―生徒たちの言葉に未来への希望があります。