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2013年4月8日(月)

子ども 兵士体験

陸自武器展示 市民グループが懸念

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 ずしりとした感触、人の命を奪う「武器への好奇心」を誘いかねない自衛隊の装備品(武器)展示。同イベントが銃刀法に違反するのではないか、との見方が市民グループの間で強まっています。(山本眞直)


 満開の桜を背に、銃をかついで行軍する自衛隊員の姿。陸自第1師団(東京都練馬区)のホームページに張り出された「第1師団創立51周年 練馬駐屯地創立62周年記念行事」(4月14日)のポスターです。人気漫画家の手によるものです。

引き金指かける 銃刀法違反との指摘も

 行事は記念式典はじめ音楽演奏会、装備品展示、レンジャー訓練体験、戦車試乗などとなっています。

 装備品(武器)展示は、子どもを含む一般参加者が銃を自由に手に取り、引き金に指をかけての射撃を模擬体験できるもの。

 「銃や機関銃の所持を禁じる銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に明らかに違反する行為で、国の機関がするのは不適切だ」―。こう指摘するのは「自衛隊をウオッチする市民の会」の種田和敏事務局長(弁護士)。

 自衛隊は例外的に、任務の遂行に必要な武器の保有が認められています。しかし自衛隊行事に参加した一般市民は認められているわけではありません。

 「市民の会」は、2010年の自衛隊観閲式(朝霞演習場=埼玉県)、12年の練馬駐屯地祭での武器展示で、小学生を含む一般参加者が小銃を手に取り、射撃ポーズをとる姿に強い違和感を覚えたといいます。

 銃刀法違反事件をインターネットで検索するとこんな事例が―。09年に滋賀県の民間放送がテレビ番組で、猟友会員から手渡された猟銃をタレントが数分間、手にした場面を放送。県警が、タレントが猟銃所持の許可を受けておらず銃刀法違反の不法所持として放送会社を捜索し、タレントも書類送検されたというのです。

 銃刀法を厳密に解釈すれば駐屯地祭などでの一般市民の武器所持も銃刀法違反に当たると「市民の会」は強調します。

 種田さんは警察庁で銃刀法改正作業に関わった幹部による『注釈 銃砲刀剣類所持等取締法』(立花書房)を引用し、こう指摘します。

 ―金属性弾丸を発射する機能を持ち、それが人畜に傷害を加える威力を持つのが銃であり、主観的な所持目的や用途のいかんは問わない、というのが銃刀法の原則。

 ―銃刀法は、人の命を奪うという危険な銃という性格から、弾の装てんのいかんを問わず、短時間であっても、許可のない所持(『支配下に置く』)を禁じている。

レンジャー訓練 ジュネーブ議定書に抵触

 「市民の会」は、「レンジャー訓練体験」にも強く反発します。レンジャーは敵の陣地内で襲撃や破壊・妨害作戦を実施する攻撃部隊です。

 「市民の会」は「ジュネーブ諸条約第二追加議定書」が15歳未満の児童を軍隊、武装した集団に採用してはならず、敵対行為に参加することを許してはならない、としていることを重視します。

 敵対行為は戦闘行為だけでなく、そのための準備行為も含まれます。「レンジャー訓練体験は訓練そのものではないが、体験させることも同議定書に抵触すると見るべきです」と種田さんは強調します。

 自衛隊自身が昨年の第1師団・練馬駐屯地祭でのレンジャー訓練体験について「防衛基盤の育成に資する」(一般命令書)と明記しているのです。

 子どもの権利条約も「締約国は、15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するためのすべての実行可能な措置をとる」としています。

 国際社会は小火器の拡散を「世界的な社会悪」として“ミクロ軍縮”の重要なテーマにしています。少年兵問題も同じ流れです。

 「市民の会」は3月に小野寺五典防衛相への公開質問状でこう指摘しています。

 「駐屯地祭などで一般市民が銃を所持することは銃刀法に違反するのではないか。児童にレンジャー訓練を体験させる企画は、児童が敵対行為に直接参加しないことを確保すべき立場にある政府がとってはならない措置であり、児童の権利条約に違反するものと考える」

 防衛省からの回答はまだありません。


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