2013年4月8日(月)
原発止めても電力輸出4倍
再生可能エネの増産で
ドイツ
福島第1原発の事故を受けて、ドイツは8基の原発稼働を止め、残りの全11基の原発も2022年までに稼働停止を決めています。現在、電力輸出が大幅に増え、12年は11年の約4倍に増えたことが明らかになりました。ドイツ連邦統計庁が2日に発表したもの。風力や太陽光・熱などの再生可能エネルギーによる電力生産増が大きな役割を担いました。
同庁によると12年の輸出は666億キロワットで、輸入の438億キロワットを差し引いた超過分は228億キロワット。これは、11年の60億キロワットの約4倍。ドイツの電力の輸出先は、オランダが最も多く、次いでオーストリア、スイスなど。逆に輸入はフランス、デンマーク、チェコからが多くなっています。
ドイツでは、原発から徐々に撤退し、再生可能エネルギーをその分増産するという政策の下、再生可能エネルギーの国内総発電量に占める割合は、福島原発事故前の10年に16・4%だったものが、11年には20・3%、12年には約22%と増大。これに対して、原発による電力量は10年の22・4%から、11年には17・6%、12年には約16%と大幅に減りました。
原発を段階的に廃止し、再生可能エネルギーに切り替える政策の実効性が示されたかたちです。原発稼働停止が進むと電力輸入国になり、他国に電力を依存することになるという日本などで行われた議論の根拠のなさも示されました。
一方、残存する原発の危険性はドイツでも政治課題となっており、独最大の環境団体、独環境自然保護連盟(BUND)などは、残る原発の即時稼働停止を求める運動を続け、各政党に今年9月の総選挙で、争点とするよう求めています。
(片岡正明)