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2013年4月7日(日)

主張

嘉手納以南

返還引き延ばす合意は論外

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 不当に奪った土地を返すのに散々引き延ばし、遅らせたあげく、代わりの土地をよこせば返してやると開き直る―。居直り強盗さながらの態度に何の変化もありません。日米両政府が公表した沖縄県の嘉手納基地以南の米軍施設・区域の「統合」計画案です。文書のタイトルには「返還」の2文字さえありません。国民を代表して無条件で返還を交渉すべき日本政府が、アメリカの不当な要求に同調しているのはまさに屈辱的です。県民から不当に奪った土地は、何の条件も付けず、直ちに返還するのが当然です。

不当に奪いとった土地

 宜野湾市にある普天間基地は名護市辺野古の新基地ができればいまから9年後の「2022年度またはその後」に返す、沖縄の県都・那覇市の入り口にある那覇港湾施設も、浦添市に建設する港湾施設ができれば「2028年度またはその後」に返す…。日米が合意したこんな「計画」を返還を約束したとも返還計画とも呼べません。

 沖縄の米軍基地はそのほとんどが、アジア・太平洋戦争末期に沖縄を占領した米軍が国際法にも違反して県民から土地を奪って建設し、戦後さらに住民を「銃剣とブルドーザー」で脅して拡張したものです。普天間基地も最初米陸軍が住民から土地を奪って建設し空軍が拡張、その後本土から移駐した海兵隊の基地になりました。

 宜野湾市の市街地の真ん中で、米国防長官でさえ「世界一危険」と認めた危険な普天間基地の返還が、日米両政府で合意されたのは20年近く前の1996年です。それを代わりの基地をよこせと散々渋ったあげく、辺野古に新基地ができれば9年後かそれ以降に返すといわれても、それをいまさらありがたがる県民はいません。

 普天間以外の嘉手納より南の五つの米軍基地も、すでに返還が決まっていたのに実行を遅らせてきたものばかりです。那覇港湾施設にいたっては、沖縄が日本に返された直後の1974年には「返還」が決まっていました。40年もほったらかしにしておいてさらに15年以上も使い続けようとは、ずうずうしいにもほどがあります。

 今回の合意で、手続きさえすめば「速やかに返還可能」とされたのは、1000ヘクタール近い対象基地のうち1割にも満たない約65ヘクタールだけです。残りの大半は、普天間基地のように沖縄県内で「代替施設が提供され次第」か、米海兵隊がグアムやハワイなど「日本国外の場所に移転するに伴い」という、条件付きばかりです。今回の合意が、名護市辺野古での新基地建設を普天間基地返還の条件とし、1年以内に埋め立て認可をなどとしているのは重大です。「返還」をえさに新基地を押し付けるやり方に、県民が反発するのは当然です。

沖縄の基地負担軽減せよ

 沖縄は面積では全国のわずか0・6%しかないのに、米軍専用基地の74%が集中し、県民の暮らしを脅かし、経済発展を妨げています。基地を「返還」するといいながら、県内に移設するだけでは、沖縄の負担軽減にはなりません。日米合意の説明のため6日沖縄入りした小野寺五典防衛相が、抗議の声に包まれたのは当然です。

 沖縄県民の切実な声に応えず無条件返還を要求しないなら、安倍政権はいよいよ国民を代表する政権の資格がないことになります。


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