2013年4月6日(土)
文科省
沖縄・竹富町教委に
育鵬社版教科書迫る
改憲に子どもたちを誘導する育鵬社版中学公民教科書を拒否して東京書籍版を使用している沖縄県竹富町の教育委員会に対して、文部科学省は4日までに、「極めて遺憾で看過しがたい」として、「違法状態」の解消策などについて報告を求める文書を送付しました。事実上、育鵬社版の使用を押しつけるものです。県教委にも、同町教委を引き続き指導するよう文書で求めました。
この問題では義家弘介政務官が3月、同町と県の教育委員会を訪れ、東京書籍版の使用は「違法」だとし、八重山採択地区協議会(石垣市・竹富町・与那国町)の「答申」通り育鵬社版を採択するよう口頭で指導しました。しかし、竹富町側は拒否しています。町教委への文書指導は初めてです。
1日付で就任した諸見里明県教育長は4日、記者会見し「県としては、あくまでも中立の立場で業務を遂行する」と強調。石垣市、与那国町とも、地区内の教科書一本化に向け引き続き協議するとしました。
竹富町教委は昨年度、東京書籍版を採択し、有志の寄付金で購入、生徒に配布しました。担当者は「今年度も昨年度の流れに沿って、準備を進めている」と話しています。
解説
特定教科書の押し付け
育鵬社版教科書は侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂した「日本教育再生機構」(八木秀次理事長)が主導してつくったものです。
沖縄県の八重山採択地区協議会は2011年8月に育鵬社版公民教科書の採用を答申しました。「答申」に対し、石垣市と与那国町は育鵬社版を採択しましたが、竹富町は不採択に。採択結果が分かれたため同年9月に3市町の教育委員全員が集まり協議した結果、東京書籍版の採択が決まりました。ところが、文部科学省がこれを無効としたため、竹富町は独自に寄付金で東京書籍版を購入しました。
文科省は「地方自治体が自ら教科書を購入し、無償供与することまで法令上禁止されていない」としていました。それを安倍政権は「違法」だとし、育鵬社版を押し付けようとしているのです。
教科書は本来、教員の意見、子ども・保護者・住民の意向に基づいて選ばれるべきです。特定教科書の押し付けは許されません。(高間史人)