2013年3月31日(日)
改憲と「新自由主義」を推進
「突撃部隊」の役割
日本維新の会が30日に開いた党大会は、安倍自民党への「共鳴」をより深くし、改憲・保守復古と貧困と格差を拡大した「新自由主義」路線推進で、突撃部隊の役割を果たすことを鮮明にしたものとなりました。
大会で確定した新綱領は、「我が国歴史と文化に誇りを抱き、よき伝統を保守」と明記。日本国憲法に対し、「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた」と悪罵(あくば)を投げつけ、「大幅改正」をうたいました。
自民改憲案に共鳴
「歴史と伝統の継承」を口実に、天皇を中心にした戦前的体制への回帰を目指すという点でも、「押し付け憲法」論に立ち9条の全面改悪をくわだてるという点でも、自民党改憲案に深く共鳴するものとなっています。
また、新綱領では「政府の過剰な関与を見直し、自助、共助、公助の範囲を明確にする」「労働市場の流動化を図る」と明記。国の社会保障の役割を投げ出し、労働法制をはじめとする規制緩和の積極推進を改めて強調しました。
橋下徹共同代表(大阪市長)もあいさつで、安倍晋三首相の名前に14回も言及。沖縄・米軍普天間基地に代わる名護市辺野古への新基地建設の推進、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の「決断」、教育再生会議推進などをあげ、「安倍首相、いいじゃないですか」「安倍首相がどんどん輝いてきた」などと絶賛しました。
にもかかわらず、夏の参院選で「自公過半数阻止」を強調する論理矛盾―。橋下氏はその矛盾を、「安倍首相がやろうとしていることは自民党にはできない」と述べ、「既得権益と日本の社会システムを打ち破っていけるのはわが日本維新だけ」と合理化しました。まさに改憲・「新自由主義」改革という「安倍カラー」の突撃部隊を自認し、「自分たちこそ本当の自民党」といわんばかりです。
「96条を変えて」
橋下氏は、大会を欠席した石原慎太郎共同代表との中継対談で、「憲法を変えるか、いまのままでいいかは、政治家が行動を共にする上で非常に重要」として、改憲を指標に政界再編を進める考えを強調。「憲法を変える勢力が3分の2を形成することも重要な参院選のテーマだ」と述べ、参院選後の改憲連合推進に強い意欲を示しました。
綱領報告で浅田均政調会長は、「私たちの理念を実現するためには、当然、憲法に手をつけずにはおれない。96条を変えて改憲の前提のハードルを低くする」と述べ、改憲手続きを定める96条の要件緩和先行を主張する安倍首相に、全面協力する姿勢を明確にしました。(中祖寅一)