2013年3月30日(土)
論戦ハイライト
参院予算委 井上議員の質問
再稼働論じる条件全くない
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真摯(しんし)な反省はなく再稼働を論ずる条件は全くない―。29日の参院予算委員会で日本共産党の井上哲士議員が政府をただしました。
安倍晋三首相は24日の福島視察で「低廉で安定的な電力供給がなければ、復興も難しい」として、再稼働推進の考えを述べています。福島第1原発事故を受け福島県議会で県内10基全ての廃炉を求める意見書が可決。同じ意見書や決議が県内59市町村のうち52市町村(88・14%)でも可決されています。
井上 復興のために原発は障害だという決議だ。総理の認識と福島県民の思いは違う。
首相 県内の原発の取り扱いは事業者が総合的に勘案し判断していくことになる。
安倍首相は東電に丸投げの姿勢。しかし、再稼働を認める条件はあるのか―。
第1原発では、地下水流入により毎日400トンの汚染水が増え続け、敷地内のタンクに28万トンもたまっています。東電は海洋放出を検討していますが、除去装置でも放射性物質トリチウムを取り除けません。
福島県漁連が「漁業再開の道が断たれかねない」と抗議文を出していると井上氏が示すと、林芳正農水相は「水産物の安全性への影響、風評被害が懸念される」と認めました。
井上 茨城県内14市で構成する県北鹿行市長会も要望書を提出し、「汚染水の海洋放出は決して許されない」としている。
広瀬直己東電社長 海洋に安易に放出はしない。
井上 安易でなければありえるのか。漁連や地方自治体の声、消費者の影響を考え、放出は行わないと明言をすべきだ。
首相 海への安易な放出は行わない。
「安易」にこだわり住民の不安や怒りに逆らう政府と東電。
井上氏はさらに、使用済み核燃料の冷却機能が停電のため30時間近くも停止した重大事故を追及しました。第1原発事故から2年以上もたつのに、いまだにトラック荷台に載せた「仮設配電源盤」が使われていたことが停電事故の背景にありました。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、昨年3月28日に原子力安全・保安院が電源設備恒久化を指示していたことを明らかにしました。
井上 保安院の指示から1年たつ。東日本大震災で複数の電源が失われて重大事故になったが、今回は電源のバックアップ体制もなかった。しかも、発表は発生から3時間後。東電は事故への反省があるのか。
広瀬社長 大変申し訳なく思っている。反省している。
井上 このようなことが続いてきた。真摯な反省を感じられない。事故の収束もしていない。原因も教訓もくみつくされていない。再稼働を論ずる条件はない。
安倍首相は再稼働に関して「規制委員会が基準を決める。基準に合うかどうか規制委が判断してほしい」と答弁。井上氏は「収束もしていないもとでそういうことはありえない」と批判しました。