2013年3月30日(土)
きょうの潮流
電話の向こうに耳をすます。93歳女性、一人暮らし。胆石の手術をしたばかり。とても外には出られない。87歳女性、一人暮らし。息子が週1回訪ねてくれるが、買い物も不自由。84歳女性、一人暮らし。生活が苦しく牛乳を1日おきにもらっている。夜が不安▼共産党の候補者4人全員が当選した東京・小金井市議選で800人近くと対話しました。痛感したのは、いかに一人暮らしの高齢者が多いか。市政への要望を聞くと、決まって返ってくるのは「私は長く生き過ぎましたから」。あきらめ、遠慮、申し訳なさ。社会に迷惑をかけてはいけないとの思いが要望をのみこませているのでしょう▼同市に「ひと声牛乳」という施策があります。前述の84歳女性が1日おきにもらっているという牛乳です。孤独死を防ぐための安否確認が目的で、対象は65歳以上の一人暮らし、または65歳以上の世帯。ところがこれに所得制限が加えられました。浮いた予算は430万円。全体からみれば雀(すずめ)の涙です▼同市は、がん検診も有料化しようとしています。自治体の役割は市民の健康と暮らしを守ることだと訴えると、電話の向こうで共感が広がりました▼これから本格的な高齢化社会が始まります。発表された「地域別将来推計人口」では、高齢化率(65歳以上の人口割合)は2040年には36・1%になると予測されています▼顧みれば、故郷の両親も老老介護です。高齢者が安心できる町は、遠く離れた子どもたちにとっても安心できるはずです。