2013年3月27日(水)
きょうの潮流
何度も経験しながらそのたびに身が引き締まります。投票用紙に政党や個人名を書く、投票箱に入れる、その瞬間です。国の政治や生活を営む町の行政に、みずからの思いをこめて▼選挙は、いまの社会をともに生きる自覚を促す機会でもあるでしょう。一人ひとりの声を国や町づくりに反映する。「選挙は社会を映す鏡」といわれるゆえんです。だからこそ、わたしたちの1票に不平等があってはなりません▼昨年12月の衆議院選挙が、「違憲で無効」とみなされました。国政選挙で戦後初の無効判決に、広島高裁は「もはや憲法上許されない事態」。長く違憲状態にあった1票の格差ですが、ここにきて選挙のやり直しを求める判決がつづきました▼大きくふみこんだ司法の判断。そこには再三指摘をうけながら格差を放置してきた政治への怒りやいらだちもみえてきます。なにしろ、格差の是正どころか、さまざまな意見を切りすてる小選挙区制度を利用して、自公や民主は政権についてきたのですから▼本紙の報道では、「無効」とされた衆院選の「死票」の割合をみると、50%をこえた選挙区が全体の6割。長野3区や東京1区では7割超です。国民の声などどこ吹く風か▼自分の声がとどかない悔しさ。「どうせ投票に行っても…」と、あきらめ感にもつながりかねません。1票の価値をそこなう選挙は主権者から自覚をうばい、民主主義を壊します。画期的な判決を機に、偽りの多数をうみだす小選挙区制を一刻も早くなくさなければ。