2013年3月26日(火)
ユーロ圏財務相会議 キプロス救済、合意
高額預金者の負担強制
【パリ=浅田信幸】欧州単一通貨ユーロを採用するユーロ圏の財務相会議(ユーログループ)は25日未明、深刻な銀行危機に陥ったキプロスの救済のため100億ユーロ(約1兆2300億円)を融資する条件について、二大銀行を縮小・整理することでキプロス政府と合意に達しました。市民から強い抗議が続いていた10万ユーロ(1230万円)未満の小口預金の負担徴収はなくし、全額を保証する内容です。一方、高額預金者には負担を強制することになりました。
合意後、ユーログループのデイセルブルム議長は、ブリュッセルでの記者会見で、キプロス経済をめぐる「不確実性に終止符を打った」と語りました。
最大のキプロス銀行については、資本増強とともに高額預金者に負担を負わせて預金規模を圧縮します。第2の国民銀行は「健全銀行」と不良債権を集めた「不良銀行」に分離し、「健全銀行」はキプロス銀行に吸収させます。多くの銀行員が整理・解雇の対象になります。
それぞれ高額預金者には多大な負担を課しますが、どの程度にするかは未定。預金から10万ユーロを差し引いた額の最大40%を削減するともいわれます。高額の預金者であるロシア企業などに大きな負担を強いるのは確実で、ロシアの強い反発が予想されます。
ロイター通信によると、今回の合意内容についてドイツのショイブレ財務相は、すでにキプロス議会が銀行の整理・再建法を成立させており、新たな法案審議の必要はないと語りました。
キプロスの首都ニコシアでは、24日も過酷な救済案に抗議する銀行員ら数百人が「われわれは21世紀の奴隷にならない」と書かれた横断幕を掲げてデモ行進しました。