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2013年3月25日(月)

主張

オバマ中東歴訪

孤立するイスラエルてこ入れ

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 オバマ米大統領がイスラエルとパレスチナを訪問しました。2期目の大統領就任後初の外国訪問であり、オバマ政権が中東和平にイニシアチブをとる可能性に関心が集まりました。しかし、オバマ氏自身が「イスラエルとパレスチナ双方から意見を聞きたい」と述べたように、新たな提案はありませんでした。手詰まり感が目立ち、米国の中東における影響力の低下を浮き彫りにしています。

入植活動の中止求めず

 イスラエルのネタニヤフ政権はパレスチナ占領地の西岸と東エルサレムでユダヤ人による入植活動を拡大しています。入植は国際法と国連安保理諸決議に反するだけでなく、将来のパレスチナ国家の領土を乱暴に侵食し、イスラエルとパレスチナの2国家による平和共存という恒久解決の展望を危うくしています。国連人権理事会でも厳しく批判されています。

 中東・北アフリカ地域の平和と安定はパレスチナ問題の公正な解決に大きくかかっています。解決がますます急がれるなか、イスラエルとパレスチナとの和平交渉が長期に中断する原因となったイスラエルの入植活動を抑えることは、国際社会に広く認められた喫緊の課題となっています。

 ところが、オバマ大統領はネタニヤフ首相に「入植活動の継続は建設的でも適切でもない」と述べただけで、中止を迫ることはありませんでした。一方で、パレスチナのアッバス議長には、パレスチナの主権とイスラエルの安全保障問題が解決すれば入植問題も片付くとまで述べて、入植活動に目をつぶるよう迫りました。アッバス議長は「違法な入植活動の中止はイスラエルの義務だ」と、イスラエル寄りの米国に反論しました。

 4年前、オバマ大統領はカイロでイスラム世界に共同を呼びかける演説を行い、イスラエルは「入植活動をやめるべきだ」と主張しました。今回の歴訪は、オバマ大統領の姿勢の後退を強く印象付けるものです。

 オバマ大統領の懸念は、中東和平よりもイスラエルの国際社会からの孤立にあったようです。イスラエルと米国とのつながりを「永続的同盟」とまで呼んで強調し、「イスラエルは(国際社会からの)孤立という逆流を押し返す必要がある」と指摘しました。

 しかし、孤立しているのは米国自身ではないでしょうか。圧倒的多数の国が賛成しているパレスチナの国家としての地位承認に、国連の場で反対しているのも米国です。米国は中東問題の「公正な仲介者」の立場を放棄したとの批判があるのも当然です。

 米国がてこ入れしていたエジプト親米政権が2年前に倒れ、「民主化」と「イスラム化」の流れが中東を広く覆うなかで、米国の影響力は一段と弱まっています。イスラエル擁護の姿勢を強めた今回の姿勢は、米国をますます孤立化させないではいません。

公正を追求してこそ

 イラク戦争の開戦から10年が過ぎました。国連安保理の同意なしに進められた戦争は、国連憲章を踏みにじった侵略戦争でした。破壊ばかりをもたらした戦争で、米国の覇権主義は大きく破綻しました。米国があらためて中東に目を向けようとするなら、国連憲章を基礎にし、公正を追求する立場に立つことが不可欠です。


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