2013年3月23日(土)
入植 即時凍結言わず
オバマ大統領 パレスチナ議長に
【カイロ=小泉大介】中東歴訪中のオバマ米大統領は21日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラを訪問し、アッバス・パレスチナ自治政府議長と会談しました。大統領は「2国家共存」路線に基づくパレスチナ国家樹立へ向け関与を継続すると表明したものの、交渉再開の試金石となるユダヤ人入植地建設即時凍結に否定的な考えを示しました。
オバマ大統領は会談後の共同会見で、「われわれはイスラエルと共存し、ともに繁栄と平和を享受できるパレスチナ国家の樹立を求めている。この目標は唯一、両者の直接交渉でのみ達成できる」とのべ、2年半にわたり中断している和平交渉再開を訴えました。
同大統領は、パレスチナ側が交渉再開の最大の障害としているイスラエルによる占領地での入植地建設について、「和平の前進にとって生産的でも適当であるとも考えない」と指摘しました。
しかし、交渉再開の条件としてパレスチナが求める即時凍結については、「すべての問題が事前に解決されるのであれば、交渉の課題はなくなってしまう」などと述べ、同問題は交渉によって解決すべきとの態度を表明。「前提条件なしの交渉再開」という、ネタニヤフ・イスラエル首相の主張に沿ったものとなりました。
アッバス議長は、「入植地が違法であるという見地はわれわれだけのものではなく、国際社会が共有しているものだ。国連総会の諸決議は、入植地非難だけでなく、それを終わらせるよう求めてきた」と述べ、改めて凍結を強く訴えました。
ラマラでは同日、約150人のパレスチナ人がデモを行い、「オバマ大統領はここでは歓迎されていない」「大統領はラマラから出て行け」などの声を上げました。