2013年3月23日(土)
福島原発 小動物が停電の可能性
東電委託先の財団が指摘
「ネズミの事故は人災」
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で使用済み燃料プールの冷却などが長時間停止したのは、ネズミのような小動物が配電盤の電気回路をショート(短絡)させたことが原因である可能性が高いとみられています。以前から東電の事業委託先の財団法人が広報誌で「ネズミの事故は“人災”」だとして対策を呼びかけていたことがわかりました。
この財団法人は「関東電気保安協会」です。主に東電の委託を受けて東電が電気を供給している家庭や事業所の設備の安全点検、保安講習会などを行っています。中村秋夫理事長は東電の元常務です。
ホームページに載った同協会の広報誌『電気と保安』は、ある工場の2階に設置されていたキュービクル(電力会社から送られてくる高圧の電気を低圧に変える設備が入った金属製の箱)の下部が開いた状態になっていたため、鳥獣が入らないよう金網でふさぐよう伝えていたところ、実際にネズミが侵入して感電し、その結果周辺の家庭や工場、ビルなどが約2時間停電した事例を紹介しています。このような事故を防止する決め手は、侵入口をふさぐことしかないと強調します。
関東電気保安協会は本紙の取材に対して「発電所の設備の点検は行っていない」とことわったうえで、「完全に密閉してしまうと内部に熱がこもる恐れがあるので、直径1センチの穴がたくさん開いた板を使って防ぐよう指導している」と説明しています。
福島第1原発構内の野外に止められたトラックの荷台に置かれていた仮設の配電盤が入っている金属製の箱には上下に5個ずつ窓があります。内部にネズミのような小動物が見つかった20日午後に記者会見した東電の尾野昌之原子力立地本部長代理は、「ケーブルを引き込む関係で、下の窓には完全に閉まりきっていない部分がある」として、小動物が入り込む余地があることを認めました。
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