2013年3月21日(木)

水俣病質問を削除

市議会チッソ出身議員が動議

共産党が抗議

　熊本県水俣市議会は１９日、日本共産党の野中重男市議の水俣病に関する質問の取り消しを求めた動議を保守系会派の賛成多数で可決しました。動議を出したのは水俣病加害企業チッソ出身の塩﨑信介市議。議会事務局は前例がないとしています。

　取り消しとされたのは、野中市議の１２日の一般質問。１０月に熊本県内で開かれる国際会議で採択される水銀規制の新条約について、行政が被害を拡大させた水俣病の歴史にふれ、「水銀に汚染された魚介類の危険性を正しく知らせていれば、患者発生や差別、偏見も防げたのではないか」とただし、市長に国際会議で発信するよう求めました。

　野中市議によると、塩﨑市議は「自分の考えと違う」として発言取り消しを要求。議会運営委員会で議論が持ち越しとなっていたところ、１９日の本会議で通告外の質問として動議が出され、自民・公明両会派が同調し９対５で可決、議長が議事録から削除しました。

　野中市議は「１４年間、議会のたびに必ず水俣病問題を取り上げてきたが、今回のようなことは初めて。事前に質問内容を通告しており、意見が違うからと発言取り消しを強行するのは言論の封殺だ」と話しています。

　塩﨑市議は本紙に「国際会議で水俣病のことを言っても水俣市にとってマイナスにしかならない」と語りました。