2013年3月20日(水)
きょうの潮流
春分の日は、自然をたたえ、生物をいつくしむ日です。命の息吹やとうとさを喜びあう。その思いと対極をなす戦争が、10年前のこの時期に始まりました。米国によるイラクへの侵略戦争です▼いまでも、くすぶりつづける思いがあります。あの戦争はなんだったのか。当時のブッシュ米大統領が理由にあげたのは、フセイン政権による大量破壊兵器の存在と国際テロ組織アルカイダとの協力でした▼ところが、米国自身の調査で偽りの“根拠”だったことがわかります。「(大量破壊兵器の)いかなる備蓄も見つかっておらず、将来も見つからないだろう」(パウエル元国務長官)。アルカイダとの関係についても「証拠はない」(独立調査委員会)▼子どもをふくめ、十数万とも数十万ともいわれるイラク国民の命がうばわれ、国はずたずたに壊されました。まともな理由や大義もないまま、他国に攻めこみ、殺りくする。その過ちを反省しなければ、無法がくり返される恐怖はいつまでも消えないでしょう▼恥ずかしいことに、日本の小泉政権は即座に米国の攻撃を支持。米軍の出撃拠点にもなりました。いまになっても言い訳に終始し、真剣な検討さえしていません。その姿勢は多くのマスメディアにも共通しています▼何事もなかったようにふるまう政府とメディア。当初から戦争反対を貫き、平和をもとめる世界の声と連帯してきた「赤旗」はいま、「イラク戦争10年」の連載を始めました。真実を伝えて、教訓と良心を示しつづけるために。