2013年3月19日(火)
南海トラフ地震、経済被害 推計220兆円
内閣府公表 原発事故想定せず
内閣府は18日、マグニチュード(M)9クラスの南海トラフ巨大地震が発生した場合の経済被害の推計を公表しました。住宅やオフィスビルなど建物の倒壊や企業の生産活動低下により、被害額は最大220兆3000億円に達するとしています。2003年にまとめた被害推計はM8・7で81兆円でしたが、東日本大震災を踏まえて最大クラスの地震を想定した結果、2・7倍の規模に見直しました。
内閣府は南海トラフ巨大地震への備えを強化するため、今後取り組む対策を盛り込んだ大綱と、減災目標を示した防災戦略を、13年度中にも策定する方針です。しかし、東日本大震災の被害をいっそう大きくした東京電力福島第1原発事故のような原発事故の発生は想定しておらず、不十分な内容となっています。
被害の内訳は、地震の揺れと津波に伴う、建物や、上下水道、道路などのインフラ損壊の被害が169兆5000億円。東日本大震災の16兆9000億円の10倍に達すると推計しました。
また、労働力減少やサプライチェーン(部品供給網)の寸断によって、企業生産が44兆7000億円低下。道路と鉄道の不通による物流停止や、運搬ルートの迂回(うかい)による損失は6兆1000億円と見積もりました。
南海トラフ巨大地震で大きな揺れと津波に襲われるとされる東海から四国、九州の太平洋岸には、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)があります。
内閣府は12年8月に南海トラフ巨大地震による人的被害について最大で32万人が死亡すると推計し、発表しました。
南海トラフ巨大地震
静岡県沖の駿河湾から宮崎県沖の日向灘にかけての南海トラフと呼ばれるプレート境界付近で発生すると考えられている地震。南海トラフでは、1944年にマグニチュード(M)7・9の東南海地震、46年にM8・0の南海地震が発生。一方、南海トラフ東端に位置する東海地震の震源域では、1854年に起きたM8・4の安政東海地震以来、159年もの間隔が空いているため、発生が近いと懸念されています。東海、東南海、南海地震が連動し、M9級の巨大地震の発生が懸念されています。