2013年3月18日(月)
情報の秘密収集違憲
米連邦地裁判決 テロ口実捜査に
【サンフランシスコ=山崎伸治】米連邦捜査局(FBI)が「国家安全保障書簡」(NSL)と呼ばれる令状を使って秘密裏に個人情報を収集することについて、米サンフランシスコの連邦地裁は15日、憲法違反だとの判断を示しました。
2001年9月の同時多発テロを受けて制定された米愛国者法で、FBIは「テロ対策」を口実に裁判所の許可がなくても、NSLを使って銀行口座の記録、電話やインターネットの通信記録など民間企業が管理する個人情報を押収できるようになっています。
押収された側はNSLを受け取ったことを含め、事実を公にすることが一切禁じられており、個人情報が本人の知らぬ間にFBIに渡されるだけでなく、行き過ぎた捜査や違法な捜査が秘密裏に行われる恐れがありました。
匿名の通信会社の訴えに対し連邦地裁のイルストン判事は、NSLに基づく押収の公表を禁じることについて「言論の自由を必要以上に制限する」ものだとして違憲との判決を出しました。
原告代理人のジママン弁護士は「裁判所が(愛国者法の)NSL条項に憲法上の欠陥を認めた」と評価。NSLに基づく捜査が公にされることに期待を示しました。
米CBSテレビによると、FBIは2011年に1万6511通のNSLを発行し、7201人の個人情報を収集。NSLによる情報収集については、FBIの内部調査でも不備があることが明らかになるなど問題が指摘されていました。