2013年3月17日(日)
「いじめ問題シンポジウム」 パネリストの発言から
日本共産党が主催した16日のいじめ問題シンポジウムでは、5人のパネリストが「今日のいじめ問題解決のために」をテーマに、それぞれの立場から発言しました。司会は宮本岳志党衆院議員です。
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山下 命、心身を守るとりくみを
小森 隠ぺいせず情報を共有して
山下芳生党書記局長代行・参院議員は、日本共産党が昨年11月に発表した提案「『いじめ』のない学校と社会を」をつくるために聞き取りを行う中で、問題の深刻さを痛感したと語り、「いじめ被害者とご家族の苦悩ははかりしれません。子どもたちの苦悩を代弁しようと思い、提案では『いじめはいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です』とのべています」と発言しました。
山下氏は「いじめにどう立ち向かうのか、社会として大きく分けて二つのことに取り組むことが必要」とのべ、党の提言の柱を紹介しました。
第一の柱は、目の前のいじめから、子どもたちのかけがえのない命、心身を守り抜く、緊急のとりくみです。第二の柱は、なぜいじめがここまで深刻になったかを考え、その要因をなくしていくことです。山下氏は「いじめの芽はどの社会にもあるが、ここまで深刻化しているのは教育や社会のあり方の問題だ」と指摘。二つの柱にそって提言のポイントを紹介しました。
小森美登里・NPO法人ジェントルハートプロジェクト理事は、「隠蔽(いんぺい)や虚偽報告を解決しなければ再発防止はなかなか難しい。亡くなった子どもたちや、傷ついた心を抱えて生きている人はいろんな経験や事例を持っている。その事例に学ぶことができず、ふたをしてしまうことになる」と訴えました。
事件直後の初動調査について小森さんは、「大津市の調査では、子どもは事件直後でも問題に向き合っていた。『知っていたけど守ることができなかった』という子どももいた。子どもが問題に向き合ってくれることを証明している」と話しました。
また、学校と親が情報を共有すること、メディアや地域に情報をどこまで開示するか決めることが重要として、「初動調査、情報の共有の確立、ここがまず第一歩だと思います」と話しました。
池田 教職員が徹底し子に関わる
宮城 いじめ側のさびしさ聞いて
福井 子の苦悩つかむ論議が大事
大阪の元公立中学校教師の池田和幸さんは、「目の前の『いじめ』から子どもの命を守るためにどうするか」と問いかけました。教職員が、子ども、保護者の声にしっかりと耳を傾け、教職員、学校をふくめた信頼関係を築く努力が大事だとのべました。
体罰は絶対にしないことを年度当初に確認する▽子どもたちがいつも教職員に見守られて安心という状況をつくる▽どの子も見離されていないことを実感できるよう教職員が徹底して子どもにかかわる―などを実践してきたと報告。「そうすれば、いじめられている子は話をしてくれる、いじめている子とは背負っている課題をともに考えることができる」と指摘しました。
民青同盟千葉県委員会副委員長の宮城みのりさんは、高校生から聞いた、いじめ・いじめられの体験を紹介しました。
携帯電話を買ってもらえた、もらえなかったをきっかけに、仲間はずし、バドミントンの部活で羽根をわざとあてられる、粗大ゴミと呼ばれる、などのいじめにあった子は、話せる友だちが一人いたことが救いになっていた、とのべました。
小学校6年間、いじめる側だった子は、宮城さんがその様子をていねいに聞くなかで、家での一人ぼっちのさびしさが深く大きくあったことを語ったと紹介。
「いじめはだれにも言わないけど、どこかで助けを求める時期がある、いじめられの奥にある『孤独』がいやされる必要がある、と感じました」と話しました。
北海道教育大学教職大学院教授の福井雅英さんは、札幌の中学生のいじめ自殺で調査検討委員会委員長を務めたさい、その子が読んだら自分の思いを理解してくれたと思えるような報告書をつくると遺影に向きあい決意し、努力したと話しました。
「子どもの苦悩に寄りそい、その内実をつかみ、それで対処法を考えるという立場を貫いた」とのべ、「学校は、子どもの苦悩の内実をつかみ共通理解にするような、子ども論議を深めることが大事だ」とよびかけました。