2013年3月15日(金)
エネルギー計画の諮問機関 原発推進派ずらり
“原発マネー”受領 “ゼロは悪影響”主張…
きょう議論再開
原発を含む中長期のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」をまとめる経済産業相の諮問機関、「総合資源エネルギー調査会総合部会」の議論が15日に再開されます。しかし、メンバーの顔ぶれをみると、民主党政権時代に約3分の1を占めた「脱原発派」の比率が低下するなど、安倍自公政権の「原発推進」姿勢が浮き彫りになりました。
委員の数は24人から15人に減少。とくに脱原発派とみられていた委員は、大島堅一立命館大教授らが外れ、7人から植田和弘京都大大学院教授と辰巳菊子日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問の2人だけになりました。
一方、原発の資材供給を担う鉄鋼最大手、新日鉄住金の三村明夫相談役が引き続き部会長を務めるなど、原発推進・容認派が多数再任され、全国で原発をもっとも多く抱える福井県の西川一誠知事など、新たに加わった5人も推進・容認派です。
たとえば、山名元京都大原子炉実験所教授は、「原発利益共同体」の中核団体、「日本原子力産業協会」(原産協会)の地方組織である関西原子力懇談会や東北原子力懇談会などから2006〜10年度に計615万円の寄付、いわゆる“原発マネー”を受け取っています。
第1次安倍内閣で総務相を務めた増田寛也氏が顧問の野村総研は、原産協会の会員企業で、社外取締役には、東京電力の南直哉元社長が就任しています。
秋元圭吾氏の出身母体、地球環境産業技術研究機構は、電気事業連合会、日本原子力発電、原発メーカーなどが出資企業に名前を連ねる公益財団法人。評議員長は関西経済連合会相談役の秋山喜久関西電力元会長です。
志賀俊之日産最高執行責任者は、電力の安定供給を求める自動車業界の代表です。
再任された豊田正和日本エネルギー経済研究所理事長は、原発を推進してきた経産省のナンバー2、経済産業審議官経験者で、昨年9月18日には、「原発ゼロのもたらす悪影響について」とのリポートを発表するなど、名うての原発推進派です。
寺島実郎日本総研理事長も、『世界』昨年6月号で、「日本自身が(世界の)原子力産業の主役となり、『日米原子力共同体』とでもいうべき構造に浸っている」という現状を容認し、「『電源供給の二割程度を原子力で支える』というのが妥当な水準」としています。
柏木孝夫東京工業大大学院教授は、昨年9月25日の日本記者クラブでの会見で、「原発を再稼働しないと電力価格は上昇し、産業空洞化・雇用問題に波及する」と電力業界の代弁者です。
総合資源エネルギー調査会総合部会委員
▽三村明夫新日鉄住金相談役(部会長)
▽豊田正和日本エネルギー経済研究所理事長
▽柏木孝夫東京工業大大学院教授
▽中上英俊住環境計画研究所所長
▽橘川武郎一橋大大学院教授
▽松村敏弘東京大教授
▼山名元京都大原子炉実験所教授
▽寺島実郎日本総合研究所理事長
▼秋元圭吾地球環境産業技術研究機構グループリーダー
▽植田和弘京都大大学院教授
▼増田寛也元総務相・野村総研顧問
▽崎田裕子環境カウンセラー
▼志賀俊之日産自動車最高執行責任者
▽辰巳菊子日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問
▼西川一誠福井県知事
《注》▼が新任