2013年3月15日(金)
衆院選挙制度、比例定数を30削減
自民が「改革」案了承
自民党は14日、選挙制度改革問題統括本部(本部長・細田博之幹事長代行)の総会を党本部で開き、衆院比例定数削減を中心とする選挙制度の「改革」案を了承しました。自民案は、比例代表定数を30削減し、残り150のうち60を得票が2位以下の政党に優先配分するものです。公明党とはすでに水面下で調整しています。
自民案は、現行の比例11ブロックを8ブロックに再編し、「北海道・東北」「北陸信越・東海」「中国・四国」を統合。また、比例の議席配分については、30減らした後の150を(1)第1枠90(2)第2枠60―の二つに分け、ブロックごとに第1枠を全ての政党の得票数に応じてドント式で配分し、第2枠を比例2位以下の政党にドント式で割り振るとしています。
公明党は15日に党政治改革本部を開き、自民党案について協議します。同党の井上義久幹事長は14日の党中央幹事会で「この国会で結論を得て実現していく」と強調しました。
解説
逆行の議論
必要なのは民意反映の改革
自民党が示した比例定数削減案は、総選挙の結果を受け、いま求められている改革方向にまったく逆行するものです。
現行の選挙制度の一番の問題は、小選挙区中心の制度によって、民意が大政党優位へと大きくゆがめられていることです。その害悪が極限に達したのが昨年12月の総選挙でした。
自民党は、小選挙区での得票率は43・1%でしたが、79%の議席を独占。比例とあわせて294議席に達しました。しかも、惨敗した09年総選挙時よりも得票を減らしながら、獲得議席で圧勝するという不合理な結果となったのです。
やらなければならないのは、この小選挙区の害悪をただし、民意を鏡のように反映する比例中心の選挙制度へと変える抜本改革です。そのときに民意を正確に反映する比例代表部分を削減するというのは論外です。
自民党「改革」案が、「第二党以下の政党への優先枠」などという複雑極まるシステムを導入せざるをえないのも、小選挙区中心の制度の矛盾を示すものです。ゆがみをただすのなら、きっぱりと比例中心の制度への転換を進めるべきです。
選挙制度は議会制民主主義の土台であり、自民党と公明党が合意したからといって、ただちに法案化することは許されません。2011年秋以来、衆院選挙制度に関する各党協議会で議論してきた経過もあります。議論を各党協議会に戻すべきです。
国民の間では、総選挙をへて、現行の選挙制度への疑問が拡大しています。「信濃毎日」1月30日付は、県民世論調査の結果、現在の小選挙区比例代表並立制について「良くない」と答えた人が8割に達したと伝えています。
いまこそ、民意を鏡のように反映する比例中心の選挙制度へ、抜本改革を求める世論を広げるときです。 (中祖寅一)