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2013年3月13日(水)

TPP 交渉参加論拠 崩れた

国会論戦にみる

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 安倍晋三首相が13日にも交渉参加表明を狙う環太平洋連携協定(TPP)。国会論戦では、参加の論拠がすべて崩れ去り、その危険性が浮き彫りになっています。

「例外なし」

対象は全関税品目

 首相が交渉参加に突き進む唯一のよりどころが「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」という日米首脳会談です。

 しかし、同会談で発表された共同声明では「すべての物品が交渉参加の対象」であり、関税・非関税障壁の撤廃を原則とする「TPPのアウトライン」を「確認する」と宣言しました。

 「これまで『聖域』としてきた農林水産品までも関税を撤廃する協定を『達成』することにほかならない」(日本共産党の志位和夫委員長)ことが明らかです。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員はコメや麦、乳製品など、関税を撤廃したことがない940品目をはじめ、約9000にのぼる全関税品目が交渉対象になり、仮に「例外」が認められても10年以内に撤廃が求められると指摘。岸田文雄外相は、米国の自由化率は「100%近い」と述べ、首相も「入り口で除外するという担保は共同声明にない」と認めました。

 国民皆保険制度や食の安全安心を守るなど、自民党が総選挙で掲げた「関税」以外の5項目の公約についても、日米首脳会談で一方的に説明しただけにすぎず、何の保障もありません。

 オバマ米大統領から保障する発言があったのかと志位氏が追及しても、首相はオバマ氏の発言を一言も示せませんでした。

後から参加する国は

異議さえ許されず

 TPP交渉に後から参加する国が極めて不利・不当な条件をのませられる問題も重大です。

 その条件とは、(1)先行交渉9カ国が合意した条文はすべて受け入れ、9カ国が合意しない限り、再協議は行わない(2)将来、ある交渉分野について9カ国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従う(3)交渉を打ち切る権利は9カ国にあり、遅れて交渉入りした国には認められない―というもの。カナダとメキシコはこれらの条件を「念書」で承諾し、昨年6月、交渉参加を認められました。

 日本共産党の笠井亮衆院議員の質問に安倍首相は「ぼやっとしている」「判然としないものがある」としか答えられませんでした。

 しかし、この問題は、民主党政権当時から浮上していました。昨年3月1日付の政府報告書「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果」は、新規交渉参加国に求められる条件として「包括的で質の高い協定への約束(コミットメント)」「合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない」「交渉の進展を遅らせない」と明記しています。交渉に参加したとたん、関税・非関税措置の撤廃を約束させられ、異議を唱えるのも許されないというのです。

 笠井氏が、「昨年3月の段階で少なくとも政府は把握していた」と追及すると、安倍首相は「私の方から指示をして説明を受けました」と述べ、外務省などから報告、説明を受けていたことを認めました。

 結局、安倍首相は「守るべきものは守る」としか答えられませんでした。笠井氏は、こんな誓約を受け入れたら、「聖域どころか、『架空の聖域』となってしまう」「そんな状況で参加すると表明したら大変なことになる。できるはずがない」と批判しました。


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