2013年3月13日(水)
福島原発事故賠償金に課税
復興の妨げ 広がる反対
県内77団体、日本医師会も
2012年度収入の確定申告の期限が15日に迫る中、国が東京電力福島第1原発事故による賠償金に課税する姿勢を示していることに対し、「復興の妨げになる」と批判の声が広がっています。
国税庁は所得税(最高税率40%)法上の扱いとして、事業者については、原発事故による賠償金のうち、▽事故被害による減収、出荷停止の減収分に対する賠償金は課税する▽検査費用や在庫廃棄などにかかる「追加的費用」は「課税は生じない」としています。
また、サラリーマンが解雇などで給与が減った分への賠償金も課税するとしています。精神的損害は非課税。
しかし、所得税法は今回のような甚大な被害を及ぼす原発事故を想定したものではありません。生活基盤を奪われた被災住民に現行税法を機械的にあてはめることに反対世論が広がっています。
福島原発被害・完全賠償請求中小業者被害連絡会の賠償金非課税署名への賛同申し入れに、県医師会、県建設業協会、県観光業協同組合など県内77団体が賛同を表明しています。(1月末時点)
JA福島中央会の大川原一介・原発損害対策部長は「新しい土地で営農を再開しようとする場合は賠償金でも足りないのに、そこから2、3割を税金でとられるのでは到底やっていけない。除染や復興が立ち遅れているのに、国は税金だけ取るのかというのが農家の思いだ」と指摘します。
全国レベルでも、日本医師会と4病院団体協議会は13年度の税制改正要望の第一項目に賠償金非課税を掲げ、「課税となれば医療機関の復旧・復興の妨げになり、地域医療の崩壊がもたらされる」としています。
日本共産党は県議団が県に対し国への働きかけを要求。国会では大門実紀史参院議員が水俣病や宮崎県の口蹄(こうてい)疫の場合は補償金を非課税にしたことを示し、追及してきました。(柴田善太)