2013年3月12日(火)
政治 考
自民党大会 報告たった7分
米学者 「腐敗無縁、共産党だけ」
昨年暮れの総選挙後から「政党とは何か」が政治論壇の一つのテーマです。選挙のためだけに離合集散を繰り返す一方、選挙公約をいとも簡単にひるがえす、毎年末になると政党助成金を目当ての政党組み替えが繰り返される、といった政党のあり方が有権者に問い直されている事情が背景にあります。
○…ごく最近も、政党とは何かを考えさせられる話題が、いくつかあります。
一つは17日に第80回定期党大会を開く自民党です。大会では1年間の活動が総括され、今後1年の方針が決定されます。今回は石破茂幹事長が、党情報告、政策報告、運動方針案、党則改正案、予算・決算報告を一括して「党務報告」として提案します。
石破幹事長報告の所要時間は7分間。方針案などを討議したり審議する時間が予定されていないのは毎回のことです。過去1年、今後1年の自民党のすべての活動を7分間ですませるというのは、神業(かみわざ)といえるかもしれません。
○…もう一つは、日本維新の会の例です。橋下徹共同代表は8日の報道陣とのやりとりで、参院選の同党候補者は自己負担3千万円との報道について聞かれ「それくらい(の選挙資金を)自分で集めてこられる人でないと国家運営なんてできない」。報道側に、「維新の会は今年から政党助成金をもらえる」「有為な人を国政に送り出すのも政党の役割では?」とたたみこまれた橋下氏は「お金をきちんと用意できる人が有為な人。議員になってからもいろんなところに頼って金集めに走るのだから」。
地獄の沙汰も金次第ならぬ、政治にかかわれるのは金次第といわんばかりの橋下氏の発言です。
○…「朝雲」という防衛省自衛隊関係者向けの専門紙が最近(2月28日号)のコラムで政党助成金を論じました。「制度導入から19年になるが、政党の体力をそぎ落とし、堕落させた一因は政党助成金だ」
日本共産党は国民の政治信条を無視する違憲の政党助成金は受け取らない方針を堅持していますが、その他の政党は収入の70〜80%を助成金に依存しています。「朝雲」はそうした現状を指摘しつつ、「真の国民政党になるには、公的助成頼みから脱し」と政党の自立を求めています。防衛専門紙さえも、政党助成金という面から政党のあり方を問う状況があります。
○…党大会という点では自民党と対照的なのは日本共産党です。第25回大会(2010年1月)は会期4日間、代議員62人が討論の発言にたちました。議案の大会決議案は前もって発表され、全党員の討議に付されました。
党資金に関しては橋下日本維新の会共同代表のような、金を集める人が政党に「有為な人」との立場と対極にあるのが日本共産党です。日本共産党は機関紙「しんぶん赤旗」などの事業収入や支持者・支援者から寄せられる浄財や寄付を党収入の基礎にしています。
○…政治的な主張を通じて地域へ浸透し、資金的に自立して腐敗や経済的な弱みを持たない、というのも政党として求められる要件です。
日本政治研究で知られるフランシス・ローゼンブルース米イエール大政治学部教授は、近著『日本政治の大転換』で日本の政党を論じています。日本共産党について「共産党の地域政治への参加は建設的なものである。日本政治につきものの腐敗とまったく無縁の政党は共産党だけだという認識は、日本社会に広くゆきわたっている」と指摘しています。
いま、有権者国民として政党をあらためて吟味する時期にあるようです。