2013年3月10日(日)
9条改悪で参加可能
国連の軍事行動 安倍首相が発言
安倍晋三首相は9日午前、BS朝日の番組で、自民党の憲法改正草案に関し、「国連が集団安全保障を行う場合、日本は責任を果たせるのか。その参加の道は残しておいた方がいい」と述べ、憲法9条の全面改悪により、国連憲章に基づく集団的な軍事行動にも日本が参加できるようにすべきだとの考えを示しました。
自民党の改憲草案は、憲法9条について1項は基本的に維持するとしながら、放棄の対象を戦争に限定し、武力行使については「国際紛争を解決する手段としては用いない」としています。また、戦力不保持と交戦権否定を規定した2項を削除し、「国連軍」規定を創設するとしています。
政府の憲法解釈では、9条2項から「派生」する問題として、国連軍への参加ができないとしており、首相の発言は、9条の全面改悪により、国連の軍事行動にも道を開こうというものです。
首相は憲法改定要件の緩和に向けて96条の改正を先行させる考えを改めて示した上で、「その先は、国民的な議論が深まっている分野からやりたい」と発言。96条改憲の狙いが9条改悪にあることを改めて示しました。
解説
「国連活動」はごまかし
安倍晋三首相が、改憲で国連の集団安全保障活動(軍事行動)に参加するとしたことは、繰り返し明言する96条改定論の狙いが、9条の全面改悪にあることを明確にしたものです。
自民党改憲案は、日本国憲法9条2項の「戦力不保持」規定を削除し、「国防軍」の創設を明記しました。これは、海外での武力行使や集団的自衛権行使、国連の軍事活動への参加の「障害」とされてきた「戦力不保持規定」を破棄して、海外での軍事活動を「自由」にできるようにするものです。
さらに「国防軍の活動」(改憲案9条の2第3項)として、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」をあげ、そもそも「国連」という言葉さえはずしています。これはイラク戦争のように国連憲章のもとでの平和の秩序を踏み破った単独行動に追随するためで、結局、米国と共に海外で戦争する体制づくりです。安倍首相の「国連活動への参加の道を残す」などという言い方は、自民党改憲案の危険な本質をごまかすものでもあります。
(中祖寅一)