2013年3月10日(日)
きょうの潮流
南米ベネズエラの北、カリブ海にキュラソーと呼ばれる、小さな島が浮かんでいます。エメラルドグリーンの海が広がり、世界遺産の港町にはパステルカラーの建物が美しい▼人口14万人の島がいま、にわかに注目を浴びています。野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2次ラウンドで8日、キューバを破ったオランダ選手の多くが、ここの出身だからです▼同島は旧オランダ領で、現在は同国と「対等な立場」で国をつくっているのだとか。中米といえば、言わずと知れた野球の盛んな地域。この島でも多くの子どもたちが野球に親しみ、米国の大リーガーを目指しています。バレンティン選手(ヤクルト)のように日本でプレーする選手も出ています▼「強さ」にはもう一つ理由があります。それはオランダ「本国」に野球の国内リーグ(フーフトクラッセ)があること。アマチュアながら、90年を超える歴史があり、毎年8チームで優勝を争っています。日本のプロ野球より長い歴史を持っているのも意外です▼オランダと野球に、こんな接点があるとは思いませんでしたが、過去の成績を見るとうなずけます。前回はドミニカ共和国を2度破り、今回は韓国も破っています▼WBCは今回、イギリスやチェコ、スペイン、ブラジルなど12カ国が初出場し、すそ野も広がっています。スポーツという「窓」から「世界」を眺めると、しばしば新鮮な発見に出合えます。WBCをそんな視点で見るのも面白い。