2013年3月5日(火)
生活保護 「門前払いは違反」判決確定
埼玉・三郷市が控訴断念
埼玉県三郷市の生活保護をめぐる裁判で、市に損害賠償を命じた、さいたま地裁の判決(2月20日)について、市は4日、控訴断念を表明し、判決が確定しました。市は「総合的に判断した結果」としています。
裁判は、市に生活保護の申請権を侵害されたとして夫妻が2007年に起こしたもの(夫は判決前に死亡)。夫妻は、05年1月から1年半にわたって生活保護の相談をしましたが、市は応じませんでした。弁護士の援助で06年6月から生活保護を受給できたものの、2カ月後には市の指導で東京都内へ転居させられ、さらに転居先で生活保護の相談に行かないよう言われました。
判決は、申請させなかったことや転居に際しての指導について市の違反を認め、賠償金537万円の支払いを命じました。原告弁護団は、主張をほぼ認めた「全面勝利」だとし、市に控訴しないよう求めていました。市民団体の「三郷生活保護裁判を支援する会」のもとには、控訴断念を迫る署名が9000人分を超えて寄せられ市に提出していました。
市の控訴断念を受けて原告弁護団の中山福二団長は「市は判決を反省材料とし、二度と同じことを繰り返さないでほしい。生活保護相談者に申請書を見えるように置くなど具体的手だてを講じてほしい」と話しました。
「支援する会」は4日、市に対し「今後は判決に基づく行政運営をするよう」に要請しました。