2013年3月5日(火)
「奴隷労働」を断罪
中国人実習生が全面勝訴
長崎地裁
長崎県島原市の縫製工場で働いていた中国人実習生5人が起こした訴訟の判決が4日に長崎地裁(井田宏裁判長)であり、不払い賃金の支払いを命じました。
裁判は、中国人実習生が研修を名目に最低賃金を大幅に下回る時給300〜350円で3カ月間休日なし、月180時間を超える残業など奴隷的な労働に従事させられたとして、セクハラ・体罰・差別待遇などの不法行為に対する損害賠償を求め、2010年2月に提訴しました。
判決は実習生に強いられた「奴隷労働」の実態を全面的に認めて不払い賃金の支払いを命令。労働裁判では異例の慰謝料200万円、セクハラも認定し、原告弁護団は「画期的で最も進んだ判決」と評価しました。評価できる点について(1)初めてブローカーの不法行為責任を認めた(2)雇主の個人責任を認めた(3)被告の破産を許さなかった(4)旅券取り上げなどの移動の自由を制限することを不法行為として認めた―の四つを挙げ、外国人実習生制度改善に一石を投じたと指摘しました。
判決を聞くために来日した原告2人は判決後、地裁前で涙を流し、抱き合って喜びました。原告らは「つらくて思い出したくない不当な待遇を受け、日本に不信感を抱いていたが、県労連などのいい人たちと知り合って、今では日本人に感謝している」と語りました。