2013年3月5日(火)
学費貸し付け 恒久化
無利子・私立高生支援 関係者の運動実る
滞納時までさかのぼって利用可
「学費の滞納により進級できない」「退学を余儀なくされる」―。こんな私立高校生を支援するための無利子の貸し付けが、私学関係者の粘り強い運動により恒久化することになりました。さっそくこの制度を利用して、神奈川県では、滞納していた学費を納めて卒業できるようになった生徒が生まれています。
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この貸し付けは、厚生労働省が実施し、社会福祉協議会が窓口となっている生活福祉資金の一種「教育支援資金」の特別貸し付けです。
教育支援資金は、低所得世帯の高校生が修学するために、月3万5千円を限度に無利子で貸し付けるものです。同資金の特別貸し付けは、学費の滞納時までさかのぼって借りることができるもので、2009年度から11年度まで毎年度の時限措置として実施されてきました。09年度は1033人、10年度は375人、11年度は270人が利用しました。
厚労省は、公立高校授業料無償化にともなって私立高校生への就学支援金制度がいきわたったことを理由に、12年度は特別貸し付けをおこなわないと決定していました。
しかし、就学支援金を利用しても、私立高生には年40万円の学費負担があります。都道府県で授業料減免制度に差があることから地域間格差は大きく、特別貸し付けの継続が急がれていました。
全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が1月から2月にかけて実施した電話相談「私立高校学費・卒業緊急ホットライン」にも、学費をめぐる深刻な相談が寄せられました。
▽授業料が高く、払えない状態が続いている。学校からは民間の教育ローンを紹介されたが、採用されない。どうしていいか困っている。(熊本)
▽卒業するためには11月から滞納している授業料を払わなければならないが、見込みがない。卒業認定されないのではないかと心配だ。(山形)
▽授業料滞納50万円。2月いっぱいまでに納入しないと卒業は難しい。学校からの方策のアドバイスはない。(福岡)
相談事例をもとに、全国私教連は2月13日、厚労省に対して緊急に特別貸し付けを実施してほしいと要請しました。その結果、厚労省は2月19日、各都道府県民生主管部(局)長あてに、臨時的措置ではなく、恒久化措置に転換すると通知しました。
全国私教連の永島民男委員長は「教育支援資金が使えるということを急いで周知徹底して、一人でも多くの高校生を救ってほしい。そして私学の無償化にむけて、さらに大きな運動をすすめたい」と話しています。