2013年3月2日(土)
生活保護受給者を“監視”
条例案提出 市民に通報責務
兵庫・小野市
兵庫県小野市(蓬莱務市長)は、生活保護世帯や児童扶養手当を受けている一人親家庭が、「不正に受給していないか」「ギャンブルでお金を使いすぎていないか」、市民に通報させる「監視」条例案を市議会に提出しました。「市民を犯罪者扱いする条例」「怖いまちや」と批判の声が上がっています。(仁田桃)
“パチンコ浪費 見かけたら知らせよ”
“犯罪者扱い”批判の声
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提出された福祉給付制度適正化条例案は、不正受給をしたり、生活が維持できなくなるほどパチンコ、競輪、競馬に使いはたすことを禁止しています。「市民の責務」として受給者の浪費が常習化しているところを見かけたら、市への情報提供を要請。「疑わしい事実」があると市長が判断した場合、警察OBなどでつくる予定の「福祉給付制度適正化推進員」が調査します。
日本共産党の藤原章市議によると、不正受給は大きな問題になっていないのに、2月20日の議会運営委員会で突然、提案されたといいます。
「市民の生活に関わる議案としては性急です。最大の問題は、市民にお互いを監視させ、通報の責務を課すところです。廃案・撤回を求めていきます」と話します。
藤原市議のもとには、「職場で『小野市は怖いまちや』『人権無視やいじめ、差別をまちごと奨励しているんやな』と口々に話していました。全国に小野市が、いじめ・差別を増長するまちと宣言する内容で恥ずかしい」という声が寄せられています。
同市には2月28日までに、全国から88件の問い合わせがありました。松野和彦市民福祉部長は本紙の取材に「この間の報道にあるような『監視』や『差別』は想定外の反応です」と答えました。また、「市として実際にパチンコ等に頻繁に行く利用者は把握していない」としています。
兵庫県社会保障推進協議会神戸市協議会の森口眞良議長は「生活保護の利用者などを犯罪者扱いするような条例案です。利用者への偏見・蔑視が前提にあります。いまの生活保護全体を悪者にする風潮に乗ったもの」と批判します。16日、同市市民会館内の「コミュニティセンターおの」で緊急学習集会が開かれます。