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2013年2月25日(月)

待機児童 認可保育所増やさない政治が原因

猪瀬都知事 規制緩和説くが…

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 東京都杉並区で認可保育所入所を希望する母親たちの運動に対し、東京都の猪瀬直樹知事が「厚労省が厚労省の基準に合わないと認めないのが認可保育所」「国の官僚機構の縦割りの弊害が待機児童を生んでいる」(22日)と述べました。さらに、待機児童解消のためにはもっと規制緩和すべきだとし、「認証保育所」(東京都が進めている無認可施設)などですませる考えを示しました。

保護者は増設望む

 しかし、保護者の多くが望んでいるのは認可保育所の増設です。

 厚労省による「21世紀出生児縦断調査」では、利用したい保育サービスとして「認可保育所(公立)」と答えた人が75%にのぼります。一方、認証保育所など「自治体独自の保育施設」は19%にとどまります。

 国は2007年に待機児童の定義を改悪し、認可外施設に入っていれば待機児童としてカウントしていません。しかし、認可外施設を利用している保護者の多くは認可保育所に移ることを望んでいます。「認証保育所」は、駅ビルや事務所などを改装した施設が少なくなく、保育料も応益負担で高いからです。

 認可保育所は、「地方分権」の名のもとに2011年に「最低基準」が撤廃されるまでは、全国どこでも最低限の施設・運用の基準を国が定めていました。国が「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」(児童福祉法第2条)からです。規制緩和された現在も、1人当たりの面積、保育士の配置や人権に関わる基準は国の定めに従うことになっています。

 そうした基準のない無認可施設では子どもの死亡事故の比率が高いことや、国が規制緩和で子どもの詰め込みを容認してから認可保育所でも死亡事故が増えていることからも、きちんとした基準が子どもの命と安全を守っているのは明らかです。

企業の参入あてに

 東京都は、他の自治体より財政が豊かであるにもかかわらず、石原慎太郎都知事時代の2001年に、国基準より面積、保育士の有資格基準を引き下げた「認証保育所」制度を導入。営利企業の参入をあてにして安上がりの待機児童の「解消」を図ってきました。

 石原都政は、民間保育所と公立保育所の格差是正のための補助金をカットするなど、保育切り捨てを進めました。営利目的の企業参入を許していることから補助金の不正受給が次々と発覚し、認証取り消しを受ける事態まで生まれています。

 待機児童が依然として生まれているのは、国と自治体が認可保育所をつくってこなかったからです。

 小泉政権下では「待機児童ゼロ作戦」などと称して、保育所への子どもの詰め込みが進められ、民主党政権では保育の市場化が狙われました。保護者と保育関係者の強い反対運動で、公的保育の完全な解体は阻止しましたが、公的保育を切り縮める流れは止まっていません。

 待機児童の解消のために、「国と自治体は公的責任を果たし、認可保育所の増設・拡充を」との声を各地で強めていくことが重要です。(鎌塚由美)


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