2013年2月24日(日)
日米首脳会談
日米同盟強化 さらなる対米従属の道に
集団的自衛権行使の検討
辺野古基地建設・TPP…
「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活をしたと自信をもって宣言したい」
安倍晋三首相は日米首脳会談後の記者会見(22日、日本時間23日早朝)でこう語り、民主党政権との“違い”を強調。(1)集団的自衛権の行使検討や軍事費の増額、辺野古への新基地建設(2)アジア太平洋での法の支配、北朝鮮への制裁(3)TPP(環太平洋連携協定)交渉参加への踏み込み―の3点での成果を誇示しました。
米国に売り渡す
ただ、これらの多くは民主党政権下で具体化が進んでいたものです。野田佳彦前首相は、経済主権を完全に米国に売り渡すTPPについても、2011年秋のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合での交渉参加表明を狙っていました。
沖縄・米海兵隊普天間基地「移設」でも、政権交代直後の民主党政権は「県外・国外移設」を主張していたものの、最終的には辺野古「移設」を積極的に進める立場を取っていました。このような野田政権の姿勢は、米当局から高く評価されたといわれています。
結果的に、野田前政権が党内事情から果たせなかった「対米従属」のメニューを数の力で実行し、さらなる対米従属の道に踏み込む―。これが安倍首相の言う「日米の絆」であり、民主党との“違い”です。
しかし、この道は国内での矛盾や反発を生むものであり、日本の針路を誤ることにもなります。
首相は、米シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)での講演で、出席者の質問に「強いアメリカは強い日本に、強い日本は強いアメリカにつながる。これは両国の国益だけでなく、よりよい世界につながっていく」と答えました。
市場を明け渡す
現在、米国の財政は危機的な状態にあり、前方展開している米軍の運用にも支障が出ている状態です。オバマ政権は経済成長を図るためにも、TPPなどの自由貿易協定を重視しています。
「強いアメリカ」復活のために農業や医療、保険といった国民生活全般に関わる市場を明け渡し、「オール沖縄」の声を一顧だにせず新基地建設を強行する―。それは「属国」を通り越して「亡国」につながる道です。
(竹下岳)