2013年2月21日(木)
きょうの潮流
きびしい寒さがつづいています。冷たい風や雪が身にしみる季節。ゆっくり春に近づいているとはいえ、気分はまだ冬の最中でしょう▼1933年の2月20日もうす曇りの寒い日でした。この日、小林多喜二は和服姿で変装用の眼鏡をかけ、ソフト帽をかぶって会合に出かけます。しかしスパイの手引きによって特高警察につかまり、すさまじい拷問の末に虐殺されました▼天皇絶対の暗黒政治のもとでうばわれた29歳の命。日本共産党員として、プロレタリア作家として、時代と格闘しながら、社会変革をめざした多喜二。没後80年の今年、彼の生き方をいまに問う催しが各地でとりくまれています▼無法労働の告発と団結した労働者のたたかう姿を描いた「蟹工船」がブームになったのは5年前。非正規労働者の増大、リストラ、過労死、追い出し部屋…。多喜二のころとは形を変えながらも、痛めつけられ、しぼり取られている現代労働者たちの共感をよびました▼「満州侵略戦争」が始まると、多喜二の小説も趣が変わります。国民生活への影響、組織活動のジグザグと不屈性、そして人間の成長や発展に重点をおくようになるのです▼多喜二最後の小説「地区の人々」には、副題があります。「火を継ぐもの」。歴史をあと戻りさせる勢力が政治を覆ういま、多くの国民が声をあげ、立ち上がっています。原発なくせ、TPP反対、基地はいらない―。多喜二が命がけで守った党の一員として、ともに進歩の火を継ぎ、逆流に立ち向かいたい。