2013年2月20日(水)
「低賃金でも就労」基本
生活保護改悪へ 厚労省が全体像
利用抑制へ調査権強化
厚生労働省は19日、同省で開いた全国の自治体部局長会議で生活保護制度「改正」の全体像を示しました。▽「就労支援」の強化で保護に至らせない・保護からの早期脱却を図る▽福祉事務所の調査権限強化―がおもな柱。不正受給の返還金の保護費からの天引きを本人が同意すれば可能にするなど、最低生活費を割り込み生存権を侵しかねない事項も検討されています。
村木厚子社会・援護局長は今後の生活保護政策の課題として、▽保護の廃止件数を増やす▽働ける年齢層を保護から抜けさせる▽医療扶助、生活扶助の「適正化」―を今後の課題とし、60年ぶりの生活保護法「改正」、新法による「生活困窮者支援」、生活保護基準の見直し―で対応するとしました。
地方自治体にハローワークの窓口を常設し生活保護の相談・申請に訪れた人を含めて「就労支援」を抜本的に強化する運用を行うとしています。生活困窮者に「就労支援」の名で保護を申請させない新たな“水際作戦”となる恐れがあります。
また、保護利用者に「集中的な就労支援」を行い、6カ月たっても就職のめどが立たない場合には本人の希望しない職種・就労場所でも就職活動させること、保護開始3〜6カ月には5万円程度の低賃金でも「いったん就労」させることを基本的考え方として「明確にする」としています。
勤労控除の見直しとあわせて、年末などに控除されている「特別控除」を廃止する方針を示しました。
生活保護法「改正」を要する事項としては地方自治体の調査権限の強化をあげ、▽利用者、過去の利用者、扶養義務者に説明義務を課す▽就労状況や保護費の使い道、過去に保護を利用していた人・その扶養義務者を調査対象に加える▽個人情報保護の点で困難な健康診断結果を入手可能にする▽調査に対し官公署に回答義務を課す―などの権限強化をあげています。
健康診断結果や支出まで管理し、過去の利用者や扶養義務者にまで説明義務を課すことは、生活保護利用をいま以上にためらわせ抑制するものです。