2013年2月16日(土)
規制改革会議の方針
財界・アメリカの要求そのもの
政府の規制改革会議(15日)が、解雇や派遣労働のさらなる規制緩和や「混合診療」の範囲拡大などについて、6月にまとめる「成長戦略」に盛り込む意向を示したことは重大です。
財界の要求に従って労働の規制を緩和し、非正規労働者を増やしてきたことが、賃金を下げ、日本を経済成長しない世界でも例外的な国にした元凶です。
安倍内閣は、(1)金融緩和(2)財政出動(3)「成長戦略」―をデフレ脱却に向けた「三本の矢」と称しています。しかし、「成長戦略」といって、労働規制をいっそう緩和するのでは、経済をまともな成長軌道にのせることなどできません。規制改革会議が示した雇用分野の課題は、労働者を安い賃金で長時間働かせたいという財界の欲望そのままです。
重大なのは解雇規制の緩和です。「解雇が無効であった場合の救済を多様化すべき」だと主張。解雇無効の判決が出ても、企業が金さえ払えば職場復帰できなくなる「金銭解雇ルール」を狙います。
日本航空の不法な解雇や電機大手の無法なリストラなどが横行するもとで、権利を主張したり労働組合に加入する労働者への「みせしめ解雇」も可能となります。
事務・研究開発系の労働者の労働時間法制も見直すとしています。「残業代ゼロ法案」と批判された「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」そのものです。
貧困と格差を拡大させた派遣・非正規労働についても、派遣期間の制限を3年から5年に延長することや、対象業務拡大など大幅緩和を主張しています。
「混合診療」の拡大は、日米の財界が求めてきたものです。
「混合診療」とは、保険診療と保険外診療(自費診療)を併用することで、現在は例外的にしか認められていません。保険外診療を混ぜた場合、原則として保険診療の部分も全額自費になります。
安全性や有効性の不確かな医療を公的保険の対象にしないことで国民の健康を守り、安全性や有効性が確かめられれば、すみやかに保険の対象に入れるという国の責任を明確にしたのが、「混合診療」の原則禁止です。「混合診療」を拡大すれば、新たな医療が保険外のままにされ、お金持ちしか使えなくなります。
米国は「混合診療」の拡大・全面解禁を求め、日本に環太平洋連携協定(TPP)参加を迫っており、日本医師会などからも「国民皆保険を崩壊させる」という強い批判が上がっています。
こうした政策を強行すれば、幅広い国民の怒りを呼び起こすことは必至です。 (杉本恒如、田代正則)