2013年2月10日(日)
暗殺抗議 葬儀に数万人
ゼネストも「暫定政府退陣を」
チュニジア
【カイロ=小泉大介】中東チュニジアで8日、暗殺された左派野党指導者の葬儀が営まれ、数万人が政府批判の声を上げるとともに、最大労組の呼びかけによるゼネストも実施されました。
同国ではベンアリ政権を打倒した一昨年の「革命」を受けて政権についたイスラム主義勢力に対する反発が、暗殺をきっかけに高まりの一途をたどっています。
6日に暗殺された「民主愛国党」指導者のべライド氏は、暫定政府を主導するイスラム主義政党アンナハダを激しく批判してきました。現地からの報道によると、葬儀が行われた首都チュニスでは、つめかけた人々が「われわれは新たな革命を求める」「暫定政府は退陣を」などと声を上げました。
政府批判のデモは「革命」の発端となった青年の焼身自殺が起きたシディブジドはじめ全国各地でも取り組まれました。
50万人の組合員を擁し「革命」時にも大きな役割を発揮したチュニジア労働総同盟(UGTT)が暗殺に抗議して呼びかけたゼネストでは、国営航空の全便が欠航に。チュニスでは銀行や工場が休業するとともに、多くの商店のシャッターも下ろされました。
暫定政府のジェバリ首相は6日、暗殺に抗議する国民への対策として実務型内閣の発足と選挙の早期実施を表明しましたが、首相の所属政党であるアンナハダ指導部は翌日、新内閣は認めないとの態度を示しました。首相や与党の今後の対応次第では、過激イスラム主義者による暴力横行と経済悪化をもたらした政治に対する国民の不満がさらに強まる可能性があります。