2013年2月8日(金)
「慰安婦の悲劇忘れない」 米国での取りくみ 2
最初の記念碑 ニュージャージー州 正しい道歩んでほしい
米ニュージャージー州バーゲン郡は、ハドソン川をはさんでニューヨーク・マンハッタン島の対岸にあります。同郡の南に位置するパリセーズパーク市、人口約2万人の半数が韓国系というこの市に、米国で最初の「慰安婦」記念碑が設置されています。
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忘れられぬよう
2009年4月のこと、韓国人のチェジン・パクさん(41)は考えあぐねていました。米連邦下院が、「慰安婦」に対し日本政府が公式な謝罪を行うよう求める決議を採択したにもかかわらず、日本政府は2年近くたっても何もしていない―。
パクさんは、ニューヨーク、ニュージャージーに住む韓国系米国人・韓国人の支援組織「韓国系米国人市民エンパワーメント」(KACE)のスタッフの一人。KACEは下院決議の実現に大きな役割を果たしました。
「何かいい考えはないか」とバーゲン郡の郡庁所在地ハッケンサックの裁判所前を通りかかったパクさんは、入り口の広場でアフリカ系の人たちの一団を目にします。
「何をしているのかと見たら、『奴隷制』犠牲者の記念碑の前で集会を開いていたんです。これだ、と思いました」
「慰安婦」の方々は亡くなってしまえば忘れ去られてしまうけれども、記念碑があれば忘れられることはない―「慰安婦」記念碑設立を求める署名運動を始めました。
「大好きだから」
設置に必要な費用6000ドルも寄付で集めました。2000人の賛同署名が寄せられ、デニス・マクナーニー郡知事(民主党、当時)も支持して設置は認められたものの、すでに四つの記念碑がある裁判所前への設置は却下されます。
その時、代わりに受け入れを表明したのがパリセーズパークのジェームズ・ロトゥンド市長(民主党)でした。09年8月に市議会が決議を採択。翌年10月、町の図書館の一角に米国で最初の「慰安婦」記念碑が建てられました。
パクさんは言います。
「私たちは日本政府に『慰安婦』の人たちのことを認めてもらいたいだけです」「私は日本が大好きです。だから日本には正しい道を歩んでほしいと思っています」
ところが、パリセーズパークの記念碑をめぐって、昨年5月、驚くべき“事件”が巻き起こりました。(つづく) (ワシントン=山崎伸治 写真も)