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2013年2月6日(水)

東電Jビレッジ「違法給油」

安全より利益の体質

本紙追及 消防本部指導で是正

福島・楢葉

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 東京電力福島第1原子力発電所事故の収束・廃炉作業の前線拠点であるJビレッジ(福島県双葉郡楢葉町)での「違法給油」問題は、本紙の取材・報道(1月17日付)をきっかけに双葉地方市町村広域組合消防本部の「指導」で是正されました。東電の対応を検証すると―。(山本眞直)


「現場からの声 担当者は取り合わず」関係者証言

写真

(写真)東電が違法・無許可で長期にわたって続けてきたタンクローリー間での燃料積み替え現場。後ろはJビレッジメーン棟=1月9日、福島県双葉郡楢葉町

 「東北地方太平洋沖地震における被災地でのガソリン等の運搬、貯蔵及び取扱い上の留意事項」。総務省消防庁が2011年3月17日に出した通知です。

通知「拡大解釈」

 東電の「違法給油」はこの通知の「拡大解釈」で始まりました。

 通知は、大震災直後に発生した被災地でのガソリンなど燃料の極度な不足というもとで、「燃料などを安全に取り扱っていただくための留意点」(同)として消防庁が緊急措置として取りまとめたものです。

 軽油を積み込んだタンクローリーの常置、タンクローリーからタンクローリーへの積み替えは消防法で禁じられています。しかし東電はJビレッジが「被災地だから問題ない」と解釈し、実施してきたというのです。

 東電は、その根拠をこう説明しました。消防法で義務付けられている許可申請は「消防庁の文書(留意事項)に基づき被災地での取り扱いを継続していたものであり問題がないと考え許可申請はしてなかった」。

 双葉広域消防本部は「空のローリーの常置申請はあったが、燃料の詰まったローリーの常置やローリー同士の積み替えを許可申請なしでやるのは(被災地であっても)違法だ」と判断。まして現場は、「(燃料漏れなどによる)防災上十分な事故防止対策もない」とあきれ返ります。

 東電はこの「違法・無許可給油」を11年4月から実施してきた、と本紙に回答。この違法給油について、社内や元請けなどから異論はなかったのか、との問いに「なかった」。

 しかしその後の本紙の取材に、ある関係者は「現場からは違法だからやめるべきだとの声はあった。でも東電の担当者や元請は大丈夫だ、と取り合わなかった」と告発します。

火災で機能マヒ

 Jビレッジに詳しい関係者はこう訴えます。「万が一、燃料漏れなどによる火災が発生し、8台ものローリーや大量に駐車中の車両に引火して大規模火災になれば連日3000人規模の原発作業員が線量計を受け取り、待機し、作業員と使用車両の除染などJビレッジの機能はマヒする。それは福島第1原発の収束・廃炉作業の全面ストップにつながる」

 東電は、11年末の政府による「事故収束宣言」、昨年7月の警戒区域解除などを理由に避難住民への「賠償打ち切り」、原発作業員への危険手当削減に動きました。その一方で違法給油は被災地での「燃料不足」解消後も、現場の声を無視して継続したのです。

 東電は「消防本部から違法という判断がされ、結果的に申し訳なかった。今後このようなことがないようにしたい」としています。

 政府から3・5兆円にも上る巨額な資本注入、資金支援を受ける東電。被災住民や原発作業員を「切り捨て」、安全よりも自社の利益優先という「二重基準」(ダブルスタンダード)の「是正」が求められています。


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