2013年1月31日(木)
主張
オスプレイ「建白書」
沖縄の訴えに応えるべきだ
米軍の新型輸送機オスプレイの配備に反対する沖縄県内41市町村のすべての首長と議会の議長、県議会議員など144人が28日安倍晋三首相ら主要閣僚に会い、オスプレイの沖縄配備の即時撤回などを要求した「建白書」を手渡しました。
沖縄からこれだけ大規模な要請団が上京したのは1972年の本土復帰以来はじめてです。基地の重圧をなくすどころか危険なオスプレイを県民に押し付けている政府への怒りがいかに大きいかを示すものです。政府は県民の訴えに耳を傾け、誠実に応えるべきです。
我慢の限度超えている
沖縄県民の基地の重圧は我慢の限度を超えています。国土面積のわずか0・6%にすぎない沖縄に全国の米軍基地総面積の74%が集中しています。普天間基地や嘉手納基地など米軍専用基地が33もおかれたままです。復帰後6000件にものぼる米兵犯罪や、あとを絶たない爆音被害などで県民の痛みは増すばかりです。要請団が安倍首相らに手渡した「建白書」は、「米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている」とのべ、「日本のあり方が問われている」と告発しています。
日米両政府は昨年10月、墜落事故が多発し、危険性が指摘されているオスプレイを沖縄に強行配備しました。昨年9月の10万人が参加した県民大会をはじめ島ぐるみで配備に反対しているのに配備を強行したやり方は、民主主義をじゅうりんするものです。県民の怒りは当然です。
オスプレイは配備されてからわずか2カ月間で、飛行ルールを定めた日米合意に違反する無法な飛行を県内全域で318件もくりかえしています。住宅密集地でくりかえされる危険な飛行に、県民は「いつ落ちてくるか」と不安を募らせるばかりです。合意違反に対しても米政府に抗議ひとつせず無法な飛行を野放しにしている日本政府の責任は重大です。
米海兵隊は今夏にも12機を追加配備し、合計24機にする計画です。さらに嘉手納基地に海兵隊のオスプレイよりもはるかに高い事故率を記録している空軍のオスプレイを配備する計画もあります。危険なオスプレイが30機も存在する異常な基地になりかねません。県民がオスプレイ配備の即時撤回を求めて島ぐるみのたたかいを発展させているのは当たり前です。
沖縄からの要請団に安倍首相は「沖縄の負担軽減は、日米安全保障上からトータルで考えて」と応えたと報道されています。首相が安保条約をたてにオスプレイを県民に押し付けるなら、とうてい県民が許すはずはありません。
沖縄の基地撤去こそ
オスプレイは沖縄を足場に米軍が全国各地の上空に設定した七つの低空飛行ルートを使って訓練する計画です。地上から150メートル以下の飛行を禁止した日本の航空法も適用除外です。オスプレイの沖縄配備を撤回させてこそ、沖縄県民と全国各地の住民の命を守ることができます。
「建白書」はオスプレイの配備の撤回、普天間基地の閉鎖・撤去を要求し、県内移設の断念を求めています。憲法の平和的生存権に基づく沖縄県民の願いに応えることこそ政府の義務です。その実現のためにも沖縄と全国の連帯を強めることがいよいよ重要です。